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第6章 混乱
ピンポーン。
春人が帰ってくる。私と康彦さんは映画を止めて、何事もなかったかのようにソファーを離れる。
「やあ、お帰り。お疲れさま。」康彦さんは言う。
「お、お帰りなさい」私はキッチンへ駆け込む。
「なんかさあ、俺がいないとき2人は何してるわけ? なんか俺だけ疎外感感じるなあ」春人の痛烈な推測。
「別に、何もないよ。ただ今日あった仕事の話とかお互いに話すだけかな」私は必死で弁解した。
「オヤジもいい歳なんだからカミサンに手を出したら承知しねえぞ」と春人は笑っている。
「馬鹿言え、どこに息子のカミサンに手を出す男がいるんだ。さ、風呂はいりなさい」康彦さんはそう言って寝室に戻っていく。
「花音、なんか嫌なことされたらすぐに俺に言うんだぞ、風呂入ってくる」
*
「うわーまた魚? 絶対贔屓してるよな、おれにもたまには好きなメニューにしてくれよ」春人は言った。
「魚は体にいいからね、贔屓なんかじゃないよ、わかった。明日は春人の好きな生姜焼きにするから。あと式のことなんだけど・・・」私は話を切り替えようとした。
「式、式ってわかってるから。今日は疲れた。日曜日に話してくんないかな」
「わかった。今日はもう寝る感じね」私はそこであきらめた。
(全然、話が進まない・・・本当に結婚式できるのかしら?)私はため息をついた。
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