今日から家族。

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私とナミ各自、車でバイト先へと向かう。 ソワソワとドキドキが止まらない。 (いるかなあ、、まだいるかなあ、、) こうゆう時に車内1人とはなんとも表現しにくくむず痒い気持ちになる。 せめてナミが隣に居てくれたら、くだらない事や うーの話で盛り上がれるのに。 焦る気持ちを抑えつつ、ようやく辿りついたのは車で20分程のショッピングモール。 私が着いた後ナミもすぐに着き駐車の終わったナミの車へと駆け寄る。 「じゃぁ、連れてくるからね?!」 「おっけー」 雨の中傘をさし駆け足で店の裏口へと向かった。 (居てくれますよーに!!) 裏口の手前で傘を畳み付いた水しぶきを軽く飛ばす。 そんな何気ない当たり前の仕草をこんなにもドキドキとしながら行う日がこようとは。 そして、緊張しながらようやく裏口のドアを開ける。 ドアを開ければ目の前にはダンボールに入った うーがいるはず。 (よしっ!) ガチャッーーー 「おはようございまーす。」 裏口を開けて目の前にあるはずのダンボールが、、 ーないー (え、ない?!!ないの?!居ないの?!) テンパる私。 慌てて警備員さんに声をかける 「あの、あの!!ここにいた子犬もう居なくなっちゃったんですか?!!!?!」 思わずでた大声に警備員さんは少し目を見開きビックリした表情をした後、優しく微笑んで 「そっちにいるよ」 っと教えてくれた。 警備員さんが指をさした方、私からみて左側を見てみると、昨日までと同じダンボールに入った少し薄汚れた白い子犬の うーがそこにいた。 いつものようにクリクリの瞳で少し気だるげにゴロリと横になりながら顔だけを起こし、こちらを見ていた。 「もらっていってもいいですか?!?!」 「勿論だよ」 「ありがとうございます!!」 終始笑顔の警備員さんに私もとびきりの笑顔でそう返した。 うーがいてくれた事が嬉しくて。 うーと家族になれることが嬉しすぎてたまらなかった。 私はくる時にさしていた傘の存在も忘れ うーを抱えナミの車へと走り向かった。 「いた!いたよ!!!ほら!!」 「うわっ!ぬいぐるみみたい!」 今日この瞬間、私達姉妹はきっと、世界中の誰よりもいい笑顔をしていた。と、自信をもっていえる。うん。絶対に。
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