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バイトが終わり うーへのお土産のパンを片手に急いで家路につく。
「ただいまっ!!」
「お帰り〜」
「うーは?!どう?!」
帰宅すると うーはチョコチョコと動き回りながらナミと遊んでいた。
今まで見たことのない部屋の風景。
我が家に子犬が居る。
今までの中村家からしたら、それは非日常。
不思議な感覚でリビングのドアの前で立ち尽くす私。
うーのいる部屋は温かくほんわかした空気に包まれているようで、なんだかこそばゆい。
「どーもこーもないよ!連れて帰ってきた時のお母さんのリアクション、ケイにも見せたかった!!」
「え、なに?どゆこと?マジギレ?」
「いや、その逆、、。
"うわっ!本当に連れて帰ってきた!何それ!ぬいぐるみみたい可愛い!!"
って、もう顔緩みまくりのメロメロだったよ。あんなに反対してたくせにさ〜
あーマジで動画撮っときゃよかった」
「ブハッ!マジでか」
思わず苦笑いしてしまった。
さすが うー。怒り狂いながら反対していた母親を見事にねじ伏せるとは、、。その可愛さにメロメロにならない人間なんかいる訳がなかったね。
「お父さんもお父さんで、もう可愛がりまくり。相手にされてないのに構うわ構うわ」
「結局みんな うーの虜になったってことはだね」
強行突破大成功。
「最初抱っこして連れて帰ってきて うーの事床に下ろしたらさ、歩かなくて匍匐前進みたいな感じで進みだしてさぁ、足の悪い子だった!!ケイに騙された!って思って焦ったよ」
「えっ、なぜ?!店内裏歩き回ってたって聞いてたしそれはないでしょー?!」
「うん、そのあと普通にあるいてた。初めての場所だから怖かったのかな」
「なるほど。それはそれで見たかったなあ」
想像しただけで、可愛いすぎてニヤニヤが止まらなくなる。
ああ、何故バイトだったんだ、、
まあバイトじゃなきゃ連れて来れなかったわけでもあるけども、、
なんだかまるで初めてハイハイした子供の瞬間を仕事で見られなかった世の中のお父さんの気持ちがわかる気がした。
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