別れの近い日

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「うー、鼻苦しいのとれてよかったねえ」 前日の夜から鼻がつまり苦しそうにしていた うー。 鼻がスーピースーピー空気の抜け切らない変な音がしていた。 毎日通院をしているため、今日は先生に鼻の中にあるゴミを取ってもらったのだ。 そのおかげで、鼻息がいつものように私の顔にあたってくる。 「うー、ご飯にしよっか」 ''うー''は私の愛犬。 2ヶ月前15歳の誕生日を迎えた女の子だ。 毛はショートでもロングでもなく、丁度いいもふもふ具合。顔の柄は猫でいうならハチワレ。一般的にはパンダ柄かな? 黒い耳は大きくピーンっとたている。 体の大きさはラブラドール程。雑種なのだが中々の大きさ。 体全体は白くお尻の方に雪だるまを黒くしたような形の模様がある。 この黒い雪だるまが無ければ間抜けな柄になっていただろうとよく思う。 目はブラウンでクリクリの瞳でずっと見つめられていると全て見透かされているような気持ちになる。 そして今は寝たきりである。 そんな彼女の頭を片膝に乗せて うーの顔の下に小さなおしっこシーツをしき ぬるま湯でふやかしたご飯をスプーンで食べさせる。 「おいし?」 満更でもない顔で完食だ。 ご飯の後は大好きなおやつ。 お気に入りのアニマルビスケット。ご飯の時とは比べものにならない勢いでハムハムハムハム っと食べる。 本当は沢山食べさせたいけど 喉に詰まったら大変なので5枚程。 その後はストローをお水につけ指で押さえて水をためて口の横から流す。 3回くらいこれを繰り返すとお皿から自分で水を飲む。 時間をかけるわりにほとんど飲めていない気がするのは気のせいってことにしよう。 食器の下に敷いたシーツはブヨンブヨンだけど これも見なかったことに。 「ご飯入れ洗ってくるから、少し胃休めしといてねー」 そういって側を離れると きまって カシャカシャカシャ っと手をバタつかせ手だけ走っているみたいな動きをして ベッドの擦れる音が聞こえてくる。 しまいには 「ワン、ワンワン」 ご立腹である。 「はい、はーい」 洗い物を済ましすぐ戻ると じーっと見つめてくる。 ああ、可愛いが止まらない。
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