1739人が本棚に入れています
本棚に追加
どうしたんだろう? 一条さんが何かを悩んでる様子なんて珍しい。
「実は、ひとつ相談があるんだが」
「はぁ……なんですか?」
「明日、うちの部署にひとり新人が入ってくる」
「この時期にですか?」
中途採用ってことは経験者なのか、はたまたヘッドハンティングで獲った優秀な人材?
考えていると、一条がここだけの話だというように声を潜めた。
「専務の甥っ子で、塚田悠斗。二十四歳。自由気ままな留学生活を終え、今度は日本の会社で働いてみたいということだ」
「はぁ」
「帆波には教育係をお願いしたい。業務の面は俺がフォローする。頼めるか?」
ジッと見つめられ、コウの脳内が黄色の点滅信号を出す。ふたりしかいない場所なのも危険だ。コウはさり気なく目を逸らし、しっかりと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!