3時のサバイバルゲーム

「皆さん、皆さん！終了でーす！3時のタイムセール終了でーす！また来週の金曜日に、お越しくださーい！」
　アルバイトの店員が、一心不乱に玉ねぎにすがりつく主婦たちに言った。かごの上には、ぼろぼろになった玉ねぎの皮の破片と、『大特価！玉ねぎ詰め放題　何個とっても50円！！(お一人様一袋まで)』と書かれたチラシが取り残されていた。
　主婦たちは何事もなかったかのように立ち上がると、数人のグループに分かれてレジへ向かう。中には血だらけの者もいたが、誰もが愉快な笑い声を上げて、楽しそうに談笑していた。
「あれを毎週やるんですか。恐ろしいですね、主婦って」
アルバイトの店員が、血の飛び散った床を拭きながら小さな声で言う。隣でかごを片付けていた先輩の店員も、ため息をついて言った。
「ああ。彼女らは家庭のためならなんだってするんだ。本当に恐ろしくて、本当に強いんだよ、主婦というものは」

　　　　　　　　　　　　　　　　ーー終ーー