7人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
初デートはイマイチだった訳だが、今度はハイキングに行くことにした。しっかり天気予報も確認したし今度こそはと思ったんだが……
またもや雨ってな。
やはり俺の名前が雨宮だからいけないのか? 今まで雨男だとは思ってなかったんだが……
流石に雨の中を強行して行くのは危険だから、俺は予定を変更して彼女と映画を見ることにした。
「俺、雨宮だから雨男なのかもなぁ。ゴメンね?」
「雨宮くんは悪くないよ。私、前からこの映画見たかったからちょうど良かったし」
二度もデートで雨が降るとかミソがついたみたいで嫌だけど、幸い彼女はニコニコしてた。その日は見た映画が面白かったこともあって、なかなか話も盛り上がったんだ。
映画館の後は食事に行ったけど、そこで映画の感想を始め涼子と色々話したもんだ。今回は自分に合わせてもらったから、次は俺の見たい作品を見るなんて気遣いに溢れた言葉ももらったよ。さりげなく次のデートを約束してもらい俺は心の中でガッツポーズだ。
吉田さんと一緒ならどんなつまんないB級ゾンビ映画だって一緒に見れるよ! なんて、恥ずかしい台詞は流石に言えなかったけど。
とにかく、二回目のデートは大成功で終わった訳だ。
……問題は次だな。
◇
三回目のデートはREDsの屋外フェスだった。え、知らない? ロックバンドだよ。
涼子はREDsの大ファンなんだが、ライブには行ったことがないらしい。REDsは俺も好きだったから、思い切ってフェスに誘ってみたんだ。二度あることは三度あるなんて言うけど、今度だけは降らないでくれって心から祈ったよ。
小学生以来のてるてる坊主を作って窓際に下げたり、近所の神社にお参りに行った。そんな努力が実ったのか、当日の朝は降ってなかった。
……が、青空とはとても言い難い分厚い灰色の雲が上空を埋め尽くしててな。天気予報ではこれから晴れるとなっていたが、今までの経験から不安を解消できない俺は携帯用の傘を持って、彼女との待ち合わせ場所に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!