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俺は思ったさ。どうして、こう上手くいかないんだろうって。
それから俺は気を遣ってしまって、しばらく彼女を誘えなかった。また雨が降って彼女に嫌な思いをさせたらと思うと、デートどころじゃないからな。
そんなある時、今度は彼女からデートに誘われたんだ。嬉しかったが、また雨が降ったらと思うと遠出する気にはならない。その日はショッピングと食事だけにした。
そしてデートに行ったんだが――今度は晴れたんだよ! それも快晴だ。俺が誘うと雨なのに彼女が誘うと快晴ときた。
……実を言うと、俺は内心彼女を疑っていたんだ。
本当は俺が雨男なんじゃなくって、彼女が凄い雨女なんじゃないかって。
人のせいにするなんて恥ずかしいけど、やっぱり気になるよな? 毎回きっちりレイングッズ持ってるし。俺達は買い物を終えると、ショッピングモールにあった喫茶室に入った。
ただ、何だか彼女はあまり楽しくないようだった。
「どうかしたの、吉田さん?」
「雨宮くん……」
彼女は俯いている。俺がどう言葉をかけるべきか悩んでいる間に、彼女は大事な話があると言い出したんだ。
(ま、まさか雨男の俺なんて嫌だということだろうか……)
まだ正式には付き合っていないのにもう別れ話になるのかと身構えたが、涼子が話したのは信じられないような言葉だったのである。
「ごめんね、雨宮くん……今までデートのたびに雨が降って嫌だったよね。実はあれね……私のせいなの」
「もしかして、雨女ってこと? でも、今日は晴れてるし……」
彼女が話したのは驚愕の真実だった。
「私、そういう能力があるの……」
「……はい?」
彼女はポツリポツリと話し始める。
涼子の実家は由緒ある雨乞いの神社で、涼子には不思議な力があるらしい。それは、楽しかったり嬉しかったり感情が高ぶると雨が降るということだった。
だから、デートのたびに雨が降ったのだという。
「そんな馬鹿な……」
「信じられないよね……だけど、本当なの……」
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