8人が本棚に入れています
本棚に追加
土砂降りの中で
その日も貴方に貰った傘をさしていた。
周りに人はおらず、広い道で、たった一人。
ぱたぱたと音を出す傘が憎たらしくて、土砂降りの中で傘を閉じた。
貴方にフラれた私を、
貴方に貰った傘が、
雨に降られながら滑稽だと嗤っているようだったんだもの。
土砂降りの中を、ずぶ濡れになって重い身体を引きずって歩く。
これくらい、これからの貴方のいない日々に比べればどうってことないの。
私は土砂降りの中をろくに前も向けずに歩き続ける。
使わない傘を、手放せないままで。
もう涙なのか雨なのか、わかんないや。
最初のコメントを投稿しよう!