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「何してんだ!!」
おれは男に駆け寄ろうとした。
だがその時、さらに信じられないものが視界に入った。
それは横転したバイクと、そのすぐそばで倒れている若い男。
頭から血を流して、身体が痙攣している。
そして刺された女の方に手を伸ばそうともがいていた。
その若い男は、おれ自身だった。
それに気が付いた瞬間、凄まじい頭痛が襲って来た。
立っていられなくなり、おれはその場に倒れ込んだ。
若い女は血まみれで、すでに絶命している。
ダークグレーのスーツの男は満足気な顔で車に戻って行く。
はっきりと顔が見えた。
口髭を生やして、五十代くらいに見える。
やがて激しい頭痛とともに視界がぐにゃりと歪んで行き、おれの視界はブラックアウトした。
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