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目を開けると、再びおれは停留所のベンチに座っていた。
あたりは静まり返っている。
壁を見ると、振り子時計の針は相変わらず午前3時前を指している。
しばらくすると公衆電話の呼鈴が鳴り始めたので、おれはベンチを立った。
受話器を取って耳に当てた。
「カヤノさん、思い出しましたか?」
キジマが尋ねた。
「ああ、思い出したよ・・・。全部な」
おそらく、さっきのトンネルでの出来事を目撃したショックでおれはすべての記憶を取り戻した。
だがまだ分からない事がある。
「キジマさん、あんたは誰なんだ?そして今おれがいる世界は一体・・・?」
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