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夜、気がつくとおれはひどく寂れたバスの停留所のベンチに腰掛けていた。
いつからそうしていたのかは分からないし、なぜここにいるのかも分からない。
頭がぼんやりとして、上手く思考を巡らせる事が出来ないでいた。
停留所は田舎でたまに見かける木造の小さな掘建小屋で、天井からくすんだ色の裸電球がひとつぶら下がっている。
オレンジ色の淡い光が小屋の中を包んでいた。
壁にはいつの時代のものか分からない色あせたポスターが貼られていて、よく言えばレトロな雰囲気だ。
それからもう一方の壁には、これまた年代物の小さな黒い振り子時計が掛けられていて、チクタクと時を刻んでいる。
針は間もなく午前3時をさそうとしている。
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