おやきと図書室

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 その瞬間、全身の毛細血管に血流が激しく流れ込む。  一翔は、慌てて目をそらした。  有希は、一翔の反応を見て太ももを隠した。 「やめてよ。そんな反応されると、こっちが恥ずかしくなるじゃない」 「そういうつもりじゃないけど、意識しないようにするのは難しいな。注射する場所はそこだけ? 他にないの?」 「他は、腕、腰、おへそ回りよ」 「じゃあ、腕でいいじゃないか。なんで太ももを見せたんだよ」 「露出が一番簡単なのは太ももなの。他は服を脱がさなければ注射できないよ」  セーラー服は生地が固くて肩までたくし上げられない。  へそ回りは、お腹を大きく出す必要がある。  露出させるには、太ももが一番簡単だと一翔は納得した。 「また、からかわれたのかと思った」  一翔が凹んだ顔で言うから、有希は吹き出した。 「本当に、君って面白い」  アハハと笑った。
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