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今さらだけど、市内全域が停電してる事に気が付いた。
それもそのはず、北海道最大の火力発電所、苫東厚真火力発電所から凄い煙が立ち上がっているのだから。
「いったい、どうしちゃったのかしら・・・・・・」
私が呟いてる間にも、弱い余震でマンションがゆれている。
外では大きな声で見知らぬ人が「津波の心配はないってよ」とか「震度6ぐらいあったらしい!」などと興奮気味に騒いでた。
「そうだ、お母さんに無事だって連絡しなくちゃ!」
倒れた家具をまたぎ、窓際からベッドへ走り寄る。
目覚まし時計の変わりに、いつも枕元へ置いておくスマホを手に取り両親へ連絡を取ろうと試みるけど、回線が混み合っててまったく繋がらない。
ネットもすごく重くて結果は同じ。
「地震や災害の直後って、こういうふうになるんだ。報道番組で見て知ってはいたけど、まさか自分が体験するなんて・・・・・・」
私は脱力してベッドに座り込み、上半身を横にして倒れ込んだ。
「ハルくん、だいじょうぶだったかな・・・・・・」
地元に残してきた彼の事を心配してスマホの画面をタップしてみるけど、結果は同じだった。
「もう、どうしたらいいのよっ!」
ベッドの上で手足をバタつかせ暴れてみるが、一人暮らしの私を気づかってくれる人はいない。
パジャマ姿のまま、ベッドへ横になり途方に暮れる。
体を丸めて長い髪に手串を入れながら、小さな声でつぶやいた。
「あ~あ、美容室にいきたいな・・・・・・」
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