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プロローグ
総合商社に勤めるOLの私、成瀬恭子、27歳。
転勤で地元を離れ苫小牧市に引っ越して9月に一人暮らしを始めたばかり。
勤務を始めて一週間を迎えようとしていた9月6日の早朝。
ベッドで就寝する私の枕元においてあったスマホから、聞き慣れない着信音が鳴り響いた。
眠い目をこすり画面を見ると、緊急地震速報の文字が。
寝ぼけて何のことだか状況が把握できないでいる。
――その時、急に強い縦揺れがはじまった。
ベッドの上で体を横にしたまま立ち上がる事さえできない。
掛け布団を被り、恐怖に耐えている中で家具やテレビが倒れていく。
窓ガラスがガタガタと音をたてて揺れる中、無言で体の動きを止め耐えるしかない。
そんな状況でも、地元に残してきた彼氏の事を思い出す。
「たすけて、ハルくん・・・・・・」
離れて暮らす年下の彼氏、勝美春樹に届かないと分かってても小声で弱音をつぶやいてしまう。
激しい揺れの中で、ただひたすら耐える事しかできない状態の私。
布団を被り体を丸め、時がすぎていくのを待つしかなかった・・・・・・
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