突然の出来事

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突然の出来事

「とまったみたいね・・・・・・」  激しい揺れがおさまって、沈黙が訪れた。  それも束の間、マンションの住人たちが騒ぎながら廊下を走り、階段を駆け下りていく音が耳に入ってくる。 「なんなのよ、もう」  不安なままパジャマ姿でベッドから起き上がると、部屋の中は全ての物が倒れひっくり返っていた。 「うそっ! 液晶テレビ買ったばっかりなのに」  だらしない私は引っ越した荷物がほとんどダンボール箱の中に梱包されたままだったので、食器やカップが散乱してないのだけど、まるで泥棒が入った後のような惨状になっている。  部屋の中心で、唖然として立ち尽くす私。  ――その時だった。  激しい縦揺れが、再び襲いかかる。 「ええっ、たってられない! 怖いよう!」  その場に座り込んで床に尻を付け、私は恐怖を耐えしのぐ。  やがて揺れは収まっていき、再び静寂が辺りを包み込む。  ホッと胸を撫で下ろした直後、けたたましいサイレンが鳴り響く。  消防署のものだとすぐにわかったけど、市内のあちこちから聞こえてくる。  なぜか外が騒がしい、三階建てマンションの三階に住む私はすぐに立ち上がり、窓際へ駆け寄ると力任せにスライド式の窓ガラスを開け、身を乗り出すようにして市内を見回した。  周りは二階建ての一軒家ばかりなので、遠くまで見渡せる。  道路を見ると消防車が何台もサイレンを鳴らしながら凄い勢いで走っていた。  交差点は信号機がついてない、街路灯も消えてる。  まだ薄暗い早朝、午前3時20分をすぎたぐらいの時間帯に多くの消防車が目指してる先を見て、体の動きを固めた私は小声でつぶやいた。 「うそっ、発電所が燃えてる・・・・・・」
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