知らずの町

8/71
前へ
/73ページ
次へ
先ほどとは大違いの明るい階段を上に上がり、2階に出た。 2階も豪華絢爛な襖絵だ。 一階は花の絵。 2階は動物の絵だ。 「わあ、綺麗」 竹に潜んでいる虎が今にも動きだしそうだ。 虎の視線の先、斜め前の襖絵は、白い兎が五羽。 「高山様のお部屋は三階になりますの。」 女将が絵に見とれている早姫を促した。 三階はどんな絵だろうと、早姫はワクワクして三階へと上がった。 「わぁ。」 「三階は鳥の襖絵ですの。」 襖絵は全部で十二。 六部屋あることになる。 「ご希望の部屋にどうぞ。」 女将は、にっこりと笑っていった。 「え?選んでいいんですか?」 早姫は女将と広信の顔を交互に見比べた 「ええ、高山様が一番始めに着かれたお客様ですから。」 「早姫が好きなの選んでよいよ。」 広信も笑って言う 奥から 右は白梟、左は隼 右は白鷺、左は鷹 右は鶴、左は鷲、
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加