知らずの町

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「温泉は三つございます。」 下調べしてあったのだろう、うんうんと広信は頷いている。 「まず、左手側が〈月の湯〉効能は美容と美肌でございます。真ん中は〈長命の湯〉効能は肩こり腰痛、怪我に効きまする。右側は〈星の湯〉内臓の病気に効きまする。」 女将は長い廊下の先を指差して言った。 ん?と思った早姫は質問してみた 「混浴なんですか?」 「月の湯と星の湯は男女別れております。長命の湯のみが混浴となっております。」 それを聞いて早姫は少し安堵した。 「では、私はこれにて失礼します。どうぞ温泉をお楽しみくださいませ。」
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