知らずの町

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鳥肌のたった体をタオルで素早く拭き、白地に紺の菊柄が入った浴衣を見に纏う。 あれが、広信。悪戯ならばどうしてくれよう。 早姫は早足で赤い暖簾をくぐった。 ここも脱衣場は別れて入るようだ。 早姫は浴衣のまま温泉の引き戸を引いた。 「広信っ!?」 長命の湯は四角の形をした湯船である。 やはりここも、ぐるりと竹の塀がある。 ただ、屋根はついていないようだ。
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