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「浴衣はこちらでいたしますので、お部屋にお戻りになりごゆるりとしてくださいませ。」
中居さんは、頭を下げると、温泉場へと向かった。
それを見て早姫も部屋に戻ろうと足を進めた時
「赤いおべべは、着なかったんですね。」
「え?」
早姫は驚いたように振り返った。
そこには、中居さんが顔だけをこちらに向けて能面のような白い顔で見ていた。
ぞくり、と全身が総毛立つ。
中居さんは、何事とも無かったように、顔を前に戻しそのまま進んで行った。
早姫は、慌てて顔を元に戻し駆けるように部屋へと戻った。
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