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◇◇◇
早姫は気をとりなおして、電波がある場所まで移動しようとし、再び部屋を出た。
(外ならば、もしかしたら電波があるかもしれない。)
軋む廊下を歩き一階へと降りた。
途中で女将さんか中居さんに会ったならば、聞けばよいかしら。
そう思っていたが、誰にも会わずに一階へとたどり着いた。
廊下をまっすぐと歩いていくと、薄暗い廊下へとさしかかった。
パタ、パラパラパラパラ
小雨が降るような音がまた聞こえてきた。
窓を開けた時には、曇空ではなかったのになぁ。と、思いつつも前へと進む。
ぎぃ。きしり、
自分の足音がやけに大きく聞こえる。
ぎぃぃぃぃぃ。
扉が開く音がして、早姫は振り返った。
引き戸の扉がわずかに開いていた。
誰かが、出てくるのかしら。と思っていたが、誰も出てこない。
早姫は、首を傾げて先へと進んだ。
いくらばか進んだ時に、早姫はあることに気づいた。
きしり、ペタ。
きしり、きしり、ペタ、ペタ。
自分の足音に合わせるように、小さな足音がする。
早姫は思いきって振り返った。
誰もいなかった。
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