16人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◇◇
階段を降りたら、女将が立っていた。
にっこりと笑い
「散策ですか?」
「はい。」
広信が笑って答えると、女将は
「ご案内いたしましょう。当方のお庭はいろんな花が咲いておりますのよ。」
女将を先頭に長い薄暗い廊下を歩く。
パラパラと雨が当たるような音がしだした。
(また、雨…)
「あれ、お前のじゃないか?」
広信の声に我に返り早姫は顔をあげた。
引き戸の隙間に青い勾玉に布の花がついたチャームがはさまっていた。
「あ、あれ」
早姫は慌てて、自分のスマホを見た。
ストラップの紐だけがついていて、その先がない。
「いつ、落としたんだろう。」
早姫は跪いて、チャームを拾おうと手を伸ばした。
最初のコメントを投稿しよう!