知らずの町

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赤い紐をくぐった時、ぞくりとわけのわからぬ悪寒が走る。 早姫は鳥肌が立った腕を擦ると言葉を失った。 目の前に広がるのは竹林だ。 先ほどの景色とは打ってかわって竹林だらけだ。 「まるで、竹取物語だな。」 感心したような広信の言葉に早姫は我にかえった。 「これから行く村の名前覚えてるか?」 「えっと、なんだっけ?」 秘境の温泉宿しか覚えていない。 広信は、吹き出すように笑って言った。 「竹無村」 「竹なし、てったくさんあるじゃん!」 思わず突っ込んでしまった。 「だよな~」
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