知らずの町

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早姫が旅館を出ると、一台の車が停まり 中から20代後半の夫婦と小学生の低学年くらいの女の子二人が降りてきた。 (1年生と2年生くらいかな。可愛いなぁ~) 駐車場を見ると、広信の車以外にも数台停まっている。 自分達が温泉に入っている間に、他のお客さんも来てたんだなぁ。 そんなことを考えていると、女の子と目があった。 二人は姉妹お揃いに腰まである髪を二つに結んでいる。 にっこりとした笑顔を向けられて、こちらの顔も緩む。 (可愛い~ぃぃ) 年若い母親が会釈して 「あなたもここにお泊まり?」 と、聞いてきた。 長い黒髪をひとつに束ねており、清楚系の美しい女性だ。 「はい。」 早姫は頷いた。 「若い方がいて良かったわ。」 にっこりと女性は笑った。 「ご家族で宿泊ですか?」 女性と同じ年頃の男性がボストンバッグを持って会釈してきた。 「ええ。同じ階になった時はよろしくね。」 女性は杉山と名乗った。
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