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◇◇◇
軽トラは、町中から山へと目指して走る。
きらめく街灯が、減って行き田んぼが左右に見えだした頃には、ぽつりぽつりとしか無かった。
「どうして、竹無旅館へ?」
ハンドルを握りながら、横目で結姫を見た。
「妹がいるからよ。」
「広信さんは、彼女と二人きっりの旅館だと聞いたけど」
うろんな目で智也は結妃を見た。
「では、逆に聞いていいかしら?なぜタクシーの運転手達は竹無旅館を怖がるの?」
「タクシーの運ちゃんだけじゃない、町の人間なら、誰もが行きたくないさ。」
「秘境の温泉宿ではないの?」
智也が苦笑した。
「表向きはね、君は竹無旅館のこと調べて来なかったの?」
「調べたわ。成金が建てた避暑地が、温泉宿として知る人ぞ知る秘境の温泉宿てっ」
智也が周囲を見渡して
「山に入ると、ネットが使えなくなる。今のうちに 「竹無温泉、オカルト、ホラー」で検索してみるといい。」
結姫は、鞄からスマホを取り出すと、言われたワードを打ち込んだ。
そこに提示された文章に結姫は、目を見張った。
「これてっ」
「それが、地元の人間は近づかない理由だよ。」
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