知らずの町

7/71
前へ
/73ページ
次へ
早姫は内心首を傾げた。 女将の言い方にひっかかりを覚えたが、別に女将は変な事は言ってないはずだ。 ぱらぱらぱらぱら 雨音は変わらず鳴っている。 廊下の色が古い飴色の廊下から真新しい茶色の廊下に変わった。 そして、豪華絢爛な襖絵が両脇に並ぶ。先ほどのは打って変わった豪華さだ。 「わあ、キレー」 早姫が思わず口にした。 女将は振り向いてにっこりと笑った。 「ここから客室でございますの。」 では、先ほどの障子の部屋は何だったんだろう。 ふと、気がつくと雨音は止んでいた。 (天気雨だったのかしら。)
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加