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港奪還作戦
僕は貨物輸送用のコンテナの陰に隠れて息をひそめていた。左目に入れているコンタクトデヴァイスにαチームの全滅を知らせるアラートが視界の端で光ったのをとらえたのがちょうど5分前だ。
このままでは港の奪還どころか投入された部隊が全滅してしまう。
僕はコンタクトデヴァイスの仮想ヴィジョンで映し出される半透明のパネルをタッチした。各部隊のアクティヴコンディションがクリアグリーンのパネルで浮かび上がる。
αチーム12人全員心拍停止、δチーム8人心拍停止残り3人負傷、1人コンタクトロスト、γチーム11人コンタクトロスト、γチームの残り1人は僕だ。
先程まで断続的に聞こえていたアンチマテリアルレーザーの射出音も今は聴こえてこない。
冷たい汗が頬を伝った。先行部隊のαチームが全滅した。それはすなわち作戦失敗を意味した。背中から貨物コンテナの冷気を感じる。
指令では、先行部隊のαチームがまず港の中枢部である管制エリアを制圧、その後続いてδチームが管制システムを失い連携の取れなくなった人狩りオートマトンを破壊する手はずだった。
僕の所属するγチームは主に通信傍受や指揮系統のバックアップ役で後衛を固める。
作戦自体は30分で終わる予定だった。日が沈むぎりぎりの時間に僕らの乗った斥力式ステルスプレーンが基地を飛び立った。奪還作戦の目標地点となる港は斥力式貨物プレーンが最大で2万機留る事の出来る巨大ターミナルだ。
しかし数日前に大量の戦闘オートマトンの襲撃で港は完全に機能を失った。
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