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「お前らの目的はなんだ」
息が上がり声が震えていた。僕の緊張とは裏腹にそいつはゆっくりと喋った。
「生体反応確認。戦闘モードを解除します」
赤い目がくるんと一回転した。ほとんど感情のこもっていない女の声だった。
「一般市民は速やかに避難してください」
そういうとそいつはこちらに一歩近づき頭部を一回転させあたりの様子を伺った。
お前は、と言いかけたとき
「私はターミナル警備用のオートマタです一般市民は直ちに避難してください」
「ここは戦闘区域ランクAに指定されました」
「敵じゃないのか?」
僕の声は震えていた。
「私はターミナル警備用オートマタ認証コードHL28Xです、直ちに避難を」
女の声はそういうとまた辺りを警戒するようにくるりと頭を回した。
「悪いけど今はそれどころじゃないんだ、仲間が救援を待っている」
僕は冷静になりきっていない頭から何とか声を振り絞った。
「今この港ではAIの反乱がおきている、君に付き合っている暇はない」
そういって僕は青い火柱に向かって走り出そうとした。
生体反応はターミナル全体で一つだけです。僕の後ろからそう聞こえた気がして振り返る。
「生体反応はターミナル全体で1つだけです、つまりあなただけです」
「このターミナル内にはすでにほかの生体反応は認識されていません」
そう告げると赤い目のオートマトンは、無機質な声で脱出を推奨します。と言った。
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