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僕と赤い目のオートマトンは冷たい空気が吹き抜ける地下道を歩いていた。
この地下道はこのターミナルの緊急用の地下道で普段は使われていないが、僕のバックパックに積んでいたアンチロックシステムで地下の扉を開けて中に入った。
コンタクトデヴァイスを暗視モードに切り替えバックパックのバッテリーを確認する。
「この先はどうなっているんだ?」
冷たい風で戦闘スーツ越しでも少し冷気を感じる。
「ここを3マイルほど進むとアルム街のシェルターに出ます」アルム街か、アルム街は首都から離れた小さな町の研究施設が密集している場所だ。
「追手の反応は?」
と手短に聞く。
「AIシステムの反応は近づいておりません」
そう告げるとこちらを見てくるりと赤い瞳を回した。
「この先はおそらくアルム街のジャミングシステムで私のレーダーは効かなくなります」
無論生体反応もつかめません。
そう付け足してまた歩き始めた。しかしこのオートマトンはずいぶん年季が入っていることに今気が付いた。きっと高度なAIシステムを搭載していなかった分反乱のシステムジャックにあわなかったのだろうと僕は思った。静寂の中足音だけが響く。
「ところでなんで僕の後を付いてくるんだよ」
と前だけを見据えて僕は言った。
「私はターミナル警備オートマタですが人名救助、及び緊急時の避難経路の誘導も兼ねております」
「僕は特殊部隊所属だ君は必要ない」
また冷たい風が吹き抜けた。
「特殊部隊というとエリアフォースですか?成人男性には見受けられませんが」
女の声はそういった。僕は何も言わなかった。
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