first section

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このストーリーは一応走り屋系としてますが基本日常系がメインです。 舞台は九州としてます。 このストーリーはフィクションです。登場する人物または団体名などは架空の物であり、現実とは一切関係ありません。 20XX年 ここはとあるF岡県のとある峠。 とある者達が夜な夜な峠に集まる。 最初に現れたのはボロボロなツギハギの外見をした180SX。 ぱっと見後期仕様だが中期ベースで特に特徴的なのは一昔の湾岸タイプのウイングに深リム系メッシュのホイール。 ホイールはSSRフォーミュラメッシュの16インチ。 そして一番目立つのがあちこち色の違う外装部品が着けられている。 色は元々白のようだがよくわからない色合いになっている。 フロントから紫、ボンネットはサビ、左右フェンダーは黒と赤、リアはオレンジで羽根はシルバーという奇抜な感じ。 フロントバンパーも外れかけでガムテープで何ヶ所か貼って寄せ上げている。 このミサイルのような180からドライバーが降りてくる。 『そろそろヤバイな、もう箱替えかな』 と言いながら降りて来たその人物は、一見少女に見える中性的な感じの少年だった。 金髪のショートヘアーで顔立ちはやはり女性寄り。 そこそこの美少女??の外見を纏っている。 この少年の名前は柚木 乃須【ゆずき のす】 年齢は18歳、基本怠けていて車しか興味がない。 ドリフトはそこそこ上手いがたまに勢いよく刺さる。 またはよく女性と勘違いされる。 あと猫好き。 この少女のような少年が一応当ストーリーの主人公である。 『ひでーな、やっぱこれ バンパーぐらぐらだし』 乃須はそう言いながら180のフロントバンパーを触り、ぐらぐらさせる。 『フレームもヤバイし、今日刺さったら終わりかもしれない。まぁ、ドリフトの練習機ってこんなもんだろ.....ぶつけるの嫌でドリフトなんて出来るかよ!』 乃須は自分にそう言い聞かせ自己解決する。 しばらくすると続々と峠を走るような車が現れる。 先頭から白のA31、黒の90マーク2、白のS14前期の三台。 先ずは1台目のA31型セフィーロ、外見はノーマルで鬼キャン仕様の一昔のドリ車スタイルのようなクルマ。 2台目のJZX90型マーク2の外見は張り出し系のエアロを未塗装のまま着けられていてこれもドリ車のようなクルマ。 そして3台目のS14前期型シルビアの外見はUS仕様のナバーン純正とZ33の純正ホイール。 フロントリップをステッカーボムにしてUSDMチックな感じにされている。 その三台は乃須に気付き、180の横に並んで止めると各ドライバーが降りてくる。 A31からはヤンキーのような金髪のロングヘアーの少女。 90からは真面目そうな茶髪のロングヘアーの少女。 S14からは幼女のような金髪のショートヘアーの少女が降りて来た。 この三人は顔はそれなりに整っている。 セフィーロのヤンキー女(仮)の名前は九条 深彩【くじょう みさ】 年齢は18歳、攻撃的な性格で乃須よりも刺り、特攻咬ます。大体の原因がこの人で大惨事がよく起こる。 通称みさイル または違う意味のツッコミ担当。 マーク2の真面目そうな少女の名前は朝霧 千佳【あさぎり ちか】 年齢は18歳、一見真面目そうにしているが実は一番の悪で強い。 普段は大人しくしているがステアリング握ると深彩以上に攻撃的になり、よく深彩に特攻咬ます。 またはまとめ役(無理矢理)。 S14の幼女の名前は早瀬 早夜【はやせ さや】 年齢は18歳、幼児体形であるがこの中で一番まともな性格??常に先頭走りだかり、 抜こうとすると妨害する。 乃須と付き合いが一番長く、乃須の事をゆず子と呼ぶ。濡れ煎餅が好き。 実はFF派でVTEC派のホンダ好き。 周りがドリフトする人が多いので取り敢えず今はシルビアに乗っている。 この問題ありそうなもの達が乃須のツレである。 『よう、相変わらずごちゃごちゃな180だな』 ヤンキー女の九条深彩はそう言いながら乃須と180の所へ近寄ってきた。 『いや、大半お前のせいだろ!単独なら刺さらねぇし!このミサイル女』 乃須は深彩にそう言い返し、絡み出す。 『誰がミサイル女だ!?』 深彩が乃須に言い返すと濡れ煎餅を持った早夜が絡んで来る。 『違うぞ!それを言うならみさイル』 早夜はそう言うと持っていた濡れ煎餅をたべる。 深『また濡れ煎餅か』 乃『お前はホントその湿気った煎餅好きだな…』 早『むっ、貴様!?濡れ煎餅馬鹿にしてるな?これは湿気ってない、したしてるだけだ』 深『いや、それが湿気てんじゃないのか?んで走らないのか?』 乃『お前の特攻セフィーロなんかと走るかよ!ただでさえフレームヤバいのに』 早『またベコベコになるぞ!まぁ、アタシは刺さらないけどね』 深『いや、お前にも原因あるだろ!いつも妨害しやがって邪魔くせぇんだよ!』 早『フン、誰ともアタシの前を走らせやしないのさ』 乃『それで毎回トドメ刺すのがあのツアラーだろ』 乃須は独りでマーク2に腰掛けて腕を組んでる千佳に指を差した。 それに対して千佳はこう返す。 『フッ、お前らが刺さるから悪い。私の90は重いからさ、急には止まらないの。それとその指へし折ってやるわ!いや腕丸ごといっちゃう?』 千佳はまるで悪くないように言い、乃須の腕を掴み、強く握り締める。 乃『うわっ、やめろ!いっちゃう』 千『何ならこのまま逆に回す?』 乃『腕もげるわっ⁉︎この女怖い』 早『おい、何いちゃついてんだ』 乃『いちゃついてねぇよ!助けろ』 深『柚木、朝霧にはあんまり絡まない方がいい。こいつ見た目と中身違うからな?この私でも手を出せない程の凶悪だ』 乃『ヤンキーのクセになに言ってんだ!つーか離せ‼︎』 乃須はそう言うと腕を払いのける。 千『あっ、離された…せっかく仕留めようとしたのに‼︎』 乃『仕留めようとするな!』 いつものような絡みをすると乃須達は走る為の会議が始まる。 乃『うーん、こいつらと走るなら先ず順番考えないといけないな』 早『いつも通りにアタシが一番前だ!』 乃『いや、お前は遅いから後ろ』 早『遅いだと⁈』 乃『お前が変に前に居ると突っ込まれる』 深『そうだな 後ろから突っ込んでしまうな』 乃『いや、お前が言うな!クラッシャーが言うな!』 深『クラッシャーはお前だろ!180ボロボロだしよ』 乃『だから俺の180をボロボロにしたのお前』 深『えっ?そうだっけ?知らん』 乃『この腐れアマ!!知らんじゃねぇ!』 早『また始まったぞ!おい、朝霧なんとかしろよ』 千『どうせこのメンツだと駄目じゃない?まぁ、問題児の九条が一番後ろで私が先頭なら問題無いでしょ。それに私の90が一番パワーあるからぶっちぎりで終わりよ』 深『誰が問題児だ』 乃『ただのオヤジセダンが何を言ってんだ』 千『何それ?ツァラーはオヤジセダンじゃない!その辺のグランデとかと一緒にされては困るわ。ちなみにツアラーじゃないツァラーよ!』 深『発音の問題かよ!今時マーク2とか田舎のヤンキーしか乗らねぇて!』 乃『いや、ヤンキーはお前!セフィーロも対して変わらねーから田舎もん』 深『ヤンキーじゃねぇよ!つーか、お前も田舎もんだろうが』 一向に話が纏まらない。 そして千佳が無理矢理纏めた事にして走る準備をし出す。 千佳は90の元へ行き、フロントとリアに着いてるエアロを外し出した。 千佳が作業していると背後から乃須が話し掛けて来る。 『何してんだ?』 『エアロ割りたくないから、しかも最近着けたばっかだし』 『エアロなんて消耗品なんだから着けとけよ!それにエアロが飛んでくシーンが見たい』 『だからそれが嫌だから外してんでしょ!ただでさえクラッシュ多いのに着けてらんないわ!この前なんてナンバー事無くなったからね』 『いや、朝霧がトドメ刺さなければ大丈夫だって』 『秘伝ミサイルバンパー‼︎』 千佳はそう言うと持っていたフロントバンパーを乃須に投げつける。 投げつけたバンパーは丁度角の所が乃須の頭に当たる。 ドカッ⁈ 『ほら、飛んだでしょ?』 『いてぇ⁉︎秘伝じゃねだろ!ただ投げ付けてるだけだろ!飛んだでしょ?じゃねぇ!割りたくないのか割りたいのかどっちかわからねぇ…ってか俺が割れた』 乃須が痛みを堪えながら言うと早夜が側に寄って来る。 何かを取り出してこう言い出す。 『ゆず子、大丈夫か?アタシの柚子コショウでも塗るか?ゆずだけに』 乃須に柚子コショウを見せ、それを塗ろうとする。 『塗るな‼︎何故に柚子コショウ?しかも何で持ってんだ』 『ぬれせんに付けると美味い』 『知るか!また濡れ煎餅かよ!どんだけぬれせん推しなんだよ!しかもそれ今関係ないだろ!』 『九州人は柚子コショウじゃないのか?』 『分かったからその鼻くそみてーなの付けようとするな』 『鼻くそじゃない柚子コショウだ』 『やめろって!?それはうどんとかに入れろ!』 このやり取りをずっと見ていた深彩は呆れたように言い出す。 『お前らさ、さっきから何やってんだよ?走りはいつやんだよ』 深彩が問いかけると、三人はこう言い返す。 乃、早、千『今でしょ!』 深『古いんだよ‼︎』 現時刻は23時頃、乃須達は漸く走ろうとし出す。 先頭から千佳90、乃須180、早夜S14、深彩A31の順で走るようで上りのスタート地点に並ぶ。 この峠の特徴は結構ダイナミックで急勾配が激しい、一部にはバンクのような区間がある。 上りをそれなりに攻めるなら結構パワーが必要。 下りは急降下なので攻めるならかなり度胸が必要。 キャッツは有り、基本一車線でやるのが決まりで抜き返しは禁止。 または跳ねるトランポリンゾーンが有る。 この峠では上りが支流であまり下りを攻める者は居ない。 この峠は翔気ラインと言い、別名F岡のパイクスピークとも呼ばれている。 九州の中ではそこそこの度胸のいるステージである。 ここで乃須達の車のスペックを軽く紹介。 乃須の180はターボグレードのタイプXなのだが逆のNAエンジンSR20DEに換装されている。 S15スペックS用のSR20DEベースにハイカム化。 性能よりもどちらかと音の方にこだわっている。 男なら黙って直菅仕様。 パワーは200馬力も無いが音で気合い入れるタイプ。 深彩のA31はS13用のSR20DETに換装されている。 大分経たってるのでパワーは200馬力以下になっている。 千佳の90はエンジン自体はノーマルでブーストアップ仕様。パワーは300馬力ぐらいでこの中では一番パワーのあるクルマ。ただし足廻りや動力系はやや強化不足。 早夜のS14はECR33用のRB25DETに換装され、エンジン自体はノーマルの250馬力。 何気に足廻りは手が掛かっている。意外に一番バランスの取れたクルマだったりする。 翔気ライン上りスタート地点 麓には民家などがあり、一気にスタート出来るような場所が無い為、丁度中間地点にある長いストレートの区間からスタートする。 一際騒がしい車が吹かし始め爆音を放し出す。 他の三台の音をかき消す程の爆音。 その車は乃須の180SX。 千『それ、うるさいわ』 乃『やっぱNA直菅だろ?痺れるだろ?』 早『ある意味痺れるな、頭痛くならないのか?』 乃『ある意味頭痛いから問題ない』 深『いや、問題あるし!』 乃『じゃあ、始めるか!刺さるなよ!』 深『お前がな!』 千『アンタもね!』 早『いやいや、お前ら全員危ないから』 そうやり取りすると乃須達はそれぞれの各車両に乗り込む。 危険な奴等の走りが始まる。 先ずは先頭の千佳の90がゆっくりとスタートして行く。 それに合わせて後続車も続いてスタートする。 ストレートから最初のヘアピンの右コーナーに差し掛かり、90が右ハザードを出し、合図を後続車に送る。 ハザードが消えると90はアクションを起こし始める。 車線を跨がないような浅めのドリフトで進入する。 それに後続車の乃須の180は合わせるようにして90の横腹に喰らい付く、早夜のS14もベッタリと180のケツを突くように着いて行く。 深彩のA31は鬼キャン仕様なのであまりスピードが出なく、少し出遅れながら着いて行く。 次は左コーナーの振りっ返し、90は空転しながら若干ラインをはみ出してアウト寄りにコーナーを脱出しようとする。 そこに180はスッとインに入り混む。ギリギリに寄せる。 『おい、1JZターボどうした?NAのSRに負けてんぞ』 『ゲロゲロSRうるさいわ!下品な音させてから!』 90がコーナーから立ち上がると少し長めのストレートになり、一気に加速し180を引き離す。 ここから勾配が段々とキツくなるセクションでローパワーには少し辛い。 『さすが1JZだな、でもその足が負けてるツアラーで行けるかな』 180がストレートで離されると90は次のヘアピンに差し掛かり、少し道幅が広めの左コーナーを豪快にドリフト進入する。 少しオーバー気味にパワーでねじ伏せようと踏み込みまたかくも90は空転し、白煙を吹く。 そのまま強引に次の右コーナーで振りっ返しようとするとミスり、アングルが戻り、失速して行く。 千佳の90が失速すると乃須180と早夜S14は追い付き、差が詰まる。 忘れがちの深彩のA31は大分離されている。ただの車高短にはこの勾配はキツく、ただ低速でケツを振る程度にしか出来ない。 この先は更に急勾配になり、バンクのような区間が待ち構えている。 千佳の90は立て直し、再び加速し出す。若干路面が跳ねるトランポリンゾーンに突入。 本来これは走り屋対策なのだがお構い無しに突っ込んで行く。 90はまさしくトランポリンのように跳ねまくり、 その衝撃で右側のサイドステップが外れて飛ぶ。 『あっ、外れた 後で拾わなきゃ』 その外れたサイドステップが乃須の180に目掛けて飛んで来る。 『トラップか⁈マ○カー的な』 飛んできたサイドステップは乃須の180に当たり、跳ね飛ばす。 『行け‼︎』 ゴン 跳ね返されたサイドステップは道端に転がる。 それを早夜のS14が何事もなく跳ね飛ばす。 ザシャ 跳ね飛ばしたサイドステップは宙に二回転ぐらい舞って道端にまた転がる。 そこにトドメを刺すように深彩のA31が踏みつける。 だがこのセフィーロはかなりの車高短のキャンバー出しの為か丁度引っ掛かり、サイドステップを引きずる事になってしまう。 『なんだよ‼︎誰の嫌がらせだよ‼︎これ』 セフィーロは飛来したサイドステップが下廻りに入り込み挟まって走れなくなり深彩はここで完全に離脱する事になる。 『おい、扱いがひどくねぇか』 他の三台はトランポリンゾーンを抜けると急坂ストレートに突入する。 これが逆の下りだと中々恐ろしい。 先頭の90は急坂ストレートから少々うねったスネークヘアピンに差し掛かり、キツい為かもがき始める。 急斜面になり、路面に力強く伝えようとし、タイヤが悲鳴をあげる。 300馬力の90でも厳しくパワーが逃げて行く。 『この峠のレイアウト考えた人絶対鬼畜でしょ』 スネークヘアピンから立ち上がるとやがてバンクが見え出す。この翔気ラインの一番の味とも言えるセクション。 うねり方が妙にエグい、まるでコークスクリューのようなレイアウトをしている。 ここには丁度路肩に車を停めれるスペースが少しあり、そのスペースを利用して派手に振る事が出来る。 ただし路肩に誰も居ない場合のみ。 唯一ここだけキャッツがなく、この区間だけは車線を跨げるようになっている。 バンク手前に差し掛かると路肩スペースが見え出す。90は大きくアクション起こし振り始める。 それ対して180とS14は浅めに振りながら着いて行く。 大きく振った90はアウトラインギリギリに膨らんで行く。 だがその路肩には一台の車86が止まっている。 千佳はその事を知らずに90を流し続ける。 すると千佳は突然驚く。 『ヤバッ⁈』 路肩に停車中の86に気づくと一瞬驚くがとっさの判断で逆に振り、向きを変える。 そのまま次のコーナーに持って行く。 千佳の頭の中には突き進む事しかない。 間一髪に90は掠れそうなぐらいにギリギリに寄せ付けてクリアした。 その現場を見ていた86の持ち主は驚いてその場から逃げている。 『あぶねー!?』 浅く振った180とS14は何事もなく切り抜けて行く。 《あぶねーな、あの女は全く…前世イノシシかなんかだな》 乃須は心の中でそう思いながら着いて行く。 バンクを駆け上るとゴールはすぐそこなのだがその手前で何かアクシデントが起こる。 突然と道脇の林からイノシシが千佳の目の前に飛び出して来る。 千佳は突然飛び出して来たイノシシを避けきれずに弾いてしまう。 ※山を走るときはイノシシの飛び出しに注意しましょう。 カジャン その轢いた反動で90は大破し、結構なダメージを喰らう。 フロント部分の大半が大破している。 大破した90はハザードを焚き、その場に停める。 『イノシシ轢いた…やっちゃった』 千佳のアクシデントに乃須の180と早夜のS14も止まる。 乃須と早夜が降りてくる。 乃『おいおい、イノシシがイノシシを轢くなよ』 早『また自分の仲間を犠牲にして』 千『誰がイノシシよ!!』 乃須と早夜は千佳ではなくイノシシの方を見る。 二人のボケが始まる。 早『おっ、今日は桜鍋か』 乃『いや、それを言うなら牡丹鍋だろ桜鍋は馬』 早『デカイなこいつ』 乃『多分主だな、こいつ』 早『おい、誰か責任持って食えよ』 乃『スタッフはどこだ?美味しくいただきました的な事をやれよ』 早『そもそもどっちがイノシシなんだ?ゆず子アタシにはよくわからんばい』 乃『どっちもじゃないのか?』 千佳の事には触れないでイノシシの方に触れていると乃須は背後から千佳に首を掴まれ、引っ張られる。 乃『ゲホッ 俺は猫か…』 千『ちょっとこれ、どうすんの』 乃『まぁ、山走ってればよくある事だから諦めろ 山走るには野生動物と心霊は付き物なんだからさ』 千『いきなりこれってありなワケ?』 乃『しょうがねぇだろ 野生には勝てん』 千『納得いかん‼︎』 しばらくすると深彩のセフィーロも現れ、 深彩も降りて来る。 深『お前ら道の真ん中で何してんだ?邪魔だぞ』 乃『見れよあれ』 乃須は千佳の90とイノシシに指を差す。 深『なるほど、でもここにずっと居てたらあぶねーって!他の車も来るし、一旦一番上まで行った方がよくねぇか?』 乃『そうだな、ツアラーは自走出来んのか?』 乃須は千佳の方に向かって状況を聞く。 千『まぁ、なんとか行けると思うけど あれは』 乃『あれはスタッフがなんとかしてくれるから大丈夫』 千『そのスタッフって何?』 そこはあえて触れないでおこう。 そして乃須達は頂上付近に移動する。 丁度路肩のある駐車場所に止める。 乃須はLEDライトを点けて千佳の90の状態を見る。 90はフロント全体的にダメージが大きく、ヘッドライト、グリル、インタークーラー、ボンネットまでへこんでいる。 『結構やられてるな、やっぱイノシシ強いな』 『何イノシシに関心してんのよ』 『だって鉄の塊がこんなにへこむんだぞ?俺の180だったら終わってたな』 『いや、私の方がへこんでるんだけど、部品ある?』 『90ならウチにクレスタがあるけど?その顔でも着ければ?』 『何故にクレスタ?』 『同じ90系だからあまり見た目変わらないだろ?』 『いや、全然変わるし!クレスタとチェイサーは似た寄ったりだけどマーク2は違う』 『どちみち今時の人に違いはわからねぇよ』 『分かるわ‼︎それに私は今時の人』 『まぁ、飯ぐらいおごるからさ元気出せよ』 『何の飯?』 『ん?しし鍋』 『胸糞悪いわ‼︎そんなの食えるか!?』 『さっき轢いたのじゃないから大丈夫』 『いや、私が大丈夫じゃないわ!!』 『山は他に鹿や野兎が居るから気を付けろよ。ちなみに兎はジグザグに逃げるからめんどい』 『兎なら轢かないわ』 『何、差別?イノシシだって命あるんだぞ?だから責任持って食えよ』 『だからもうイノシシから離れろっての!』 『しかし、このまま帰れるのか?辛うじて自走は出来ても白黒組織に止められないか』 『無理矢理バンパー付けて帰るしかないわ』 『いや、付かないだろ!しょうがねぇな…』 乃須はそう言うとポケットからスマホを取り出し、連絡を入れる。 ローダーの手配をする。 それから30分程経つとローダーが現れ、乃須達の目の前に止まる。 そのローダーには五月女ロードサービスと書いてある。 『またやったのか?』 ローダーからそう一声掛けると降りてくる。 その人物とは、少し目付きの悪い元ヤンのような容姿をした女性。 雰囲気は深彩に近い。 この元ヤンのような女性の名前は柏木 茜【かしわぎ あかね】 年齢は20歳、性格は多少荒くボーイッシュ。 普段はFC3S型サバンナRX-7に乗っており、ロータリーマニア。夜限定の走り屋専門のロードサービスをしている。 またはロータリーを得意とするチューナー。 『よし、やるか おい、出て来いや!』 元ヤンの柏木茜はそう言いながらローダーの助手席側のドアを叩き、もう一人の人物を呼ぶ。 するとダルそうな感じのだらけた少女が降りてくる。 銀髪のややウェーブの掛かったロングヘアーの少女。 綺麗いめな顔立ちをしていてジト目。 特に一部目立つのが大きな双房、巨乳の持ち主の美少女。 このダルそうな少女の名前は五月女 流奈【さおとめ るな】 年齢は18歳、基本駄目人間で全てにやる気がない。いつも寝ている事が多い。 頭はそれなりに良く、役に立つ時がたまにある。 普段はだらけてやる気見せないがたまにやる気モードになる時は性格が凶変したりする。 何故かちくわぶばかり食べる。 少しお金持ちのお嬢様で会社を持っている。 車にはあまり興味ないようにしているがE36型とE46型のBMW M3に乗っている。 あとZ4やM4も持っている。 流奈は乃須達の仲間でもあり、乃須達の仲では頭にされているが少し扱いが酷かったりする。 『ダルいわ…眠いし…』 流奈はダルそうに身体をフラフラさせながら乃須達の前に姿を表し、乃須が流奈に話し掛ける。 『おい乳女、相変わらず死んでやがんな』 『一応生きてる…それに…乳女じゃない…』 ツッコミにもやる気がない。 『今まで何してたんだ?』 『……フツーに寝てた……20時間ぐらい』 『寝すぎだろ‼︎腐るぞ』 『いや…既に腐りかけ…』 『駄目だこの人』 乃須と流奈がそうやり取りをしていると、茜が入って来る。 茜『おら、さっさとやらねーと朝になるぞ!』 乃『何で五月女まで連れてきたんだ?』 茜『いつも寝ってばっかだから叩き起こして無理矢理連れて来てやった』 茜がそう言うと流奈を手伝わせるように連れて行き、千佳の90を荷台に載せる作業をし出す。 『なんで私がこんな事をしなくちゃいけないの……こう見えて偉いのに』 流奈はめんどくさそうに言いながら作業しようとリフトのレバーに触るが何もしない。 『これ…なんだっけ…』 流奈はぼーっとしている。 すると茜に横から飛び膝蹴りを咬まされる。 ゲシッ 流奈はそのまま地面に倒れてしまう。 流奈が倒れると乃須が助けに来る。 『大丈夫か⁈』 乃須は流奈の身体を支えるようにして起こし上げる。 『だっ…だっ大丈夫…』 流奈は一瞬気を失い掛けたが身体をゆらっとさせながら立ち上がる。 だが乃須は違う所を心配してこう言い出す。 『大丈夫かその乳』 『そこかよ‼︎』 そこだけは流奈はツッコミを入れた。 そして乃須と流奈が絡んでいる間に茜は千佳の90をローダーに載せ上げ、作業は完了するが……。 『おい、結局何もしてねーじゃねーかよ!』 やる気なしの流奈に茜は言い放した。 『いや、だって…めんどくさいし…ねぇ、ゆずちゃん』 困った流奈は乃須の方へ振り向き乃須にフォローさせる。 だが乃須は適当に答える。 『まぁまぁ、この人はこうだから これでもウチのリーダーだよ。この乳に勘弁してくれ』 乃須は流奈の一部を指してフォローをした。 茜『いや、フォローになってないし これ乳しかないのかこれ』 流『酷い……しかもこれって』 乃『そうだぞ!?酷いぞ‼︎この乳に謝れ‼︎乳に』 流『いや、そこ⁈つーかさっきから乳の事ばっかしなんだけど…』 茜『まぁ、良いや 柚木こいつやるわ』 茜は丸投げしたように流奈を置いてローダーに乗り込み、去って行く。 流奈はこの場に置き去りにされる。 『大丈夫か?つか、何の為に連れて来られたんだ?』 『さぁ…私にはなんの事かさっぱり』 『まぁ、乳揺れまくるけど乗るか?乳ブンブン丸になるけど』 『いや、そんなに揺れないけど それに乳ブンブン丸って何?』 『なんなら九条のセフィーロでも良いぞ』 『それならツギハギ号(180)で我慢する』 『まぁ、暗いから乳揺れてもわかんねーから安心しろよ!』 『いや、その心配してないから』 そして時刻は深夜の1時を周り、日付が変わっている。 最後のメンバーの一人、流奈も加わった事で乃須達は集まり雑談が始まる。 乃『1時か…今日はそろそろ帰るか もうすぐ幽霊が出る時間帯だしな』 早『幽霊出る時間帯なんてあるのか?』 千『幽霊みたいなのは居るけど?』 流『どこ?』 千『五月女、アンタよ』 流『酷い…幽霊じゃないし』 早『いや、五月女はおっぱいお化けだ』 流『いや、そこまで大きくないし おばけじゃない』 乃『おい早瀬、羨ましいのか?貧乳だから』 早『誰が貧乳だ‼︎アタシに振るんじゃないボケ⁉︎』 千『それ車より空気抵抗良さそうね?フラットボディーで』 早『くらすぞ(殴るぞ)!!イノシシ女』 乃『心配するなって俺はどっちでも大丈夫だから』 早『知るか⁈』 深『また話脱線してやがる』 乃『さて、帰るついでにそのまま下り一本攻めるか』 深『下りはヤバくねぇか?』 乃『俺は下りの方が得意だから問題ない』 早『九条、ビビってんのか?やっぱ攻めるなら下りだろ』 深『ビビってねぇよ!下りならベタベタに着いて行ってやる‼︎』 乃『じゃあ、遠慮なくガチで行くからな?』 早『まぁ、そのオンボロセフィーロじゃ無理だけどな!すぐ刺さって終わりだけどな!』 乃『九条、俺はお前が刺さる事に祈ってる‼︎』 深『刺さらねーよ‼︎』 どうやら乃須達は最後のシメに下りも走る事になったようで乗り込もうとするが。 流奈が先に乃須の180の運転席側へ乗り込んだ。 180のエンジンを掛け、吹かし始める。 流奈の目付きが変わる。 『よし、ぶっちぎりで終わらしてやる‼︎』 流奈は妙にやる気を出している。 『いや、攻めるの俺!出ろ⁈』 乃須はそう言うと流奈を運転席から引きずり出す。 『えー?!』 流奈は残念そうにしている。 『えー、じゃねぇよ!なんだそのえーはお前はマ◯オさんか』 『せっかくこの私の凄さを証明してやろうと思ったのに‼︎私の車ないし』 『今回は横で我慢しろ!』 『ちぇ…』 流奈は仕方がなさそうに助手席側へ移り、180に乗り込む。 今度の下りは乃須の180が先頭で早夜S14、深彩A31の順で走る。 千佳は深彩のA31の横に乗っている。 下りは先程の上りとはレイアウトが間逆になり、急降下して行く事になる。 『行くか!』 乃須がそう一声掛けると横の流奈はニスモのフラッグを180のサンルーフから突き出して振る。 合図を送り、路肩から一気にスタートしてコースに飛び出して行く。 続いて早夜S14、深彩A31も合わせてスタートする。 先頭の乃須の180SXは下りになるとそこそこの速さを見せる。 180はストレートから若干緩やかなヘアピンの第一コーナーへ差し掛かり、突っ込んで行く。 S14は180のケツに飛び込むようにベッタリと着く。 深彩のA31もまだ離されずに着いて来ている。 緩やかなヘアピンを抜けると名所のバンクが見え、道が段々とうねり出す。 180は手前からフェイント入れ鮮やかに流し始める。 対するS14はここはキッチリとグリップ走行で行く。 バンクに突入にするとこの二台は何もためらいもなく、突っ込んで行く。 そして深彩は下りをあまり慣れていないせいか先頭の二台から少しずつ離される。 深彩は横から千佳に野次られる。 『離されてるわよ!』 『お前が重いんじゃ⁉︎』 深彩は隣の千佳のせいにする。ちなみにこの二人はあまり仲は良くない。 下り出すと車高短セフィーロは底打ちをし出す。 路面に擦り付き、火花が出る。 『ちょっ、これ底打ちしてるわよ!これもうちょっと車高上げたら?今時シャコダカの時代よ』 『うるせーな、横からビッチ』 『誰がビッチよ!てか横からビッチって何』 『横からギャーギャーうるせぇし‼︎』 『何キレてんのよ?この勾配の激しい山走るならこの車高はキツイわ…』 この二人が言い合っている間に180とS14から大分離されていた。 乃須と早夜はスネークヘアピンに突入し、ここからキャッツ区間となり、一車線でツインドリフトをさせながら繋げて行く。 この先は急降下のストレートからの右低速コーナー。 ブレーキングが命取りのセクション。 するとここで早夜S14は少しペースダウン。 ここはあまり得意じゃないようで速度を下げて行く。 乃須は、そのまま緩めずに突っ込んで行く。 ストレートを下って右の低速コーナーが見え出す。 乃須は大分手前からサイドを引き突角を付け、180を直ドリ状態に持ち込む。 上手く速度調整させながら突っ込んで行く。 若干フロントノーズがガツンとキャッツに当たるがそのまま流す。 ガードレールにギリギリに寄せてクリアする。 少しS14を引き離したがここから道が平坦になり、180との差をS14がまた詰めて来る。 するとトランポリンゾーンが現れ、突入。 二台とも跳ねる。 ここで全体的に速度が下がる。 トランポリンゾーンを切り抜けると二台はストレートに立ち上がりまた加速して行き、次の広めの低速ヘアピンに差し掛かる。 二台とも合わせるようにして流し、真横に向ける。 少しシルビアのノーズが180の横腹に付き、押し出さない程度に寄せられる。 『俺より上手いかもな、もっと寄せて来い!』 『誰もアタシの前を走らせん‼︎どけ‼︎』 早夜はそう言いながらぬれ煎餅を咥え込み、乃須を捕らえようとする。 ふと乃須が隣の方を見ると流奈は何故かちくわぶを食べていた。 その事にツッコミを入れる。 『何でお前はちくわぶ食ってんだ‼︎ここでキャラ推してんじゃねぇよ』 乃須はツッコミ入れる余裕があるか知らないが流奈にツッコミを入れた。 『美味いから』 『その粉の塊みたいなのよく食えるな』 『はい、あげる』 流奈は無理矢理乃須の口にちくわぶを放り込む。 180の挙動が乱れ始め、卍状態になる。 『やめろ⁉︎』 放り込まれた乃須はすぐさま外にちくわぶを投げ、180を立て直す。 『あっ、ちくわぶが…』 『じゃねぇよ!』 『この私を乳女呼ばわりした罰』 『いや、ここでされても事故るだけだから!!お前も巻き添いになるだけだから‼︎』 『私は無事を祈る 生きて帰ろう』 『この女が一番あぶねー!?』 流奈の悪戯により、乃須は早夜のS14に背後に張り付かれ、煽られる。 早夜がS14のノーズで軽く180のテールに当ててツッコミを入れる。 『おい、さっきからあぶねぇんじゃ‼︎何しんとんじゃ!?』 早夜は乃須に向けてパッシングする。 『クソッ、やられた…とんだ邪魔者が』 乃須達がふざけていると既に最後のセクションへと差し掛かろうとしていた。 乃須は気を取り戻して180にムチを入れ始める。
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