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「…好子さんと新造さんのお母様は…」
口にした私は、しまったと思った。
目の前の米倉正造が、好子と新造の母親を毛嫌いしていることを忘れていた…
それを思い出した。
私が、口に出したことで、米倉の顔は明らかにこわばったが、それでも、
「…高見さんが、あの女の名前を出したのは、わかります…」
と、怒りを押し殺した表情で、言った。
「…あの女はなにも言いません…」
「…なにも言わない?…」
「…そう、なにも言わない…いつも、おっとりとして、ただニコニコしている…だから、余計に頭にくる…」
「…どうしてですか?…」
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