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「どうした」
いつもと違う克己の様子に幼馴染の純也が聞いた。
「ん……」一瞬言い淀んだ克己が、ミルクも入れないアイスコーヒーのストローに僅かに口をつけて言う。
「転校するんだと……」
下校途中の交差点、交差点の一角に建つ2階建て喫茶店。アイスコーヒーを啜りながら男子高校生が二人。
「転校?」怪訝な表情で問い返す純也。
「またか?」
幼い頃からの友人には言わずとも解ってしまう事がある。
「お前中学ん時も好きになった子に転校されちゃったんだよな」
「……」
克己は言葉も無く頷いた。
中学時代、克己には純也も良く知るクラスメートに好きになった娘が居たのだが。
チキンな克己が言い出せずにいるうちにその子は転校してしまった。
「どーすんだよ」
「んー」
黙り込む克己の前で純也も黙って寄り添う。
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