ウタウタイの社

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 ツブネは世を怨んで死んだストク天王の呪いについて、コマチに説明する。朝廷から追放されたストク天王は、呪いを「辞世の句」に閉じ込めて自害したこと。ストク天王の肉体は滅びても呪いは詠唱京に残り続け、呪霊と化したストク天王のミタマを鎮めるためにストク院を建てたことなど。  「ストク天王さまの辞世の句が、詠唱京にそのような呪詛を放っていたとは、初めて耳にしました。どんな辞世の句なんですか?」  自分が生まれる前の詠唱京で起きた事件のことなど、コマチは知らなかったのでツブネに訊ねてみた。  「詠めば詠んだものが呪われる恨み歌と言われ、詠唱京では読むのを憚られる短歌ですが、短歌にして短歌にあらず、コトバにしてコトバにあらず、文字にして文字にあらざる難解極まりない短歌だと言われています。もとより自殺したものの遺したうたですから、良いものではありませんが」  「よく解りかねます」  なぞかけのようにも思え、禅問答のようにも感じながら、コマチは険しい表情で首を傾げた。  「コトダマを正して生きていれば、辞世の句を詠む必要もなくなります。有言実行の力も付いてきます」  「有言実行の力ですか?」  「わたくしは"短歌の内容は話さない代わりにそれ以外のことなら教える"と、コマチさんに言いましたね。言った通りのことをそのまま実行しました」
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