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「おし!じゃあ、今度はスケボーで走ってみるぞ!
前足を進行方向に向け、後ろ足は地面につける。重心を前足に置いたまま、地面を勢いよく蹴る!スケボーが動き始めたら、すかさず後ろ足をスケボーに乗せる!」
信二のレクチャー通りの動きをする人魚姫。すーっと動くスケボーに、後ろ足を乗せる。顔に当たる風が心地よい。ワンピースがふわりと風になびく。
スケボーの上はゆらゆら揺れて不安定なはずなのに、人魚姫は、落ち着くような、懐かしいような、不思議な感覚に陥っていた。
(何故かしら。地面を歩く時よりも楽に感じる。…そうか、スケボーの上の方が、海の中にいる感覚に近いんだわ)
地面を強く蹴り、スピードを上げる。海の中で泳いでいるような爽快さを感じながら、人魚姫はスケボーで走り続ける。
と、急に人魚姫の視界が、ぐるっと回転した。そして、お尻から地面に着地する。
お尻と背中が痛い。服が砂まみれだ。でも楽しい!口元が緩むのを抑えきれない。
「大丈夫!?派手にこけちゃったね、痛そう〜」
心配そうなあおいの声に続いて、信二の声も聞こえた。
「あー、今、重心が後方に傾きすぎてしまったな。重心が崩れると、変な転び方をして怪我をしかねないぞ。かならず体重は、前足の上に置くように」
…はいっ!
人魚姫は心の中で返事をすると、よたよたと立ち上がって、再びスケボーの練習をし始めた。
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