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「………できない………」
人魚姫は、海の中で、魚のような尾びれをスケボに乗せ、ため息をついた。
きらきら光る青い鱗。上半身は人間の女性の身体だが、お腹から足にかけては魚だ。お腹から尾びれにかけての、だんだん色が濃くなっていくグラデーションが美しい。だが、今の人魚姫にとって、それは憂鬱の種でしかなかった。
人魚姫は、物思いに耽る。
…そうだ。私には、人間たちのような足がない。足がなければ、スケボーに乗ることさえ、できないではないか。
「足…足が欲しい…。人間になりたい。人間になって、スケボーがしたい…」
スケボーとの運命の出会いを果たしてからというもの、人魚姫の思いは、日に日に募っていく。
そしてある日、ついに大胆な行動に出た。
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