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人間10日目
人魚姫は、驚異的な速さで、基本的な技をマスターしていく。
スケボーの前方を、左右に振りながら前進する「チックタック」。
スケボーの4つある車輪のうち、2つを浮かせ、残りの2つの車輪を使って走る、「マニュアル」「ノースマニュアル」。
スケートボードを横に90°傾け、体を正面に向けながら、車輪をスライドさせ減速する、「フロントサイドパワースライド」。
スケボーを空中で横に回転させる、「ショービット」。
そして、今、ジャージ姿の人魚姫が挑戦しているのは、障害物をジャンプして飛び越える技、「オーリー」である。
これは、スケボーを始める人間が一度は憧れる、超カッコいい技。信二の指導にも熱が入る。
「後ろ足を置く場所は、スケボーの後の端っこ。ほら、ちょっとスケボー板が曲がっているだろ。ここに置くんだよ。
はい!スケボーを走らせながら、身体の重心を真下に!ジャンプするための準備して!
スケボーの上で、真上に伸び上がってジャンプしながら、後ろ足を思いっきりキック!」
パチン、と、スケボーの後方が地面に当たる音がした。
「そしたら、スケボーの前方から空中に浮く!浮いたら膝を曲げて、前足と後ろ足を身体に引き寄せる!そう、その調子!
…よし!着地!飛べたじゃないか!」
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