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あとがき
拙作をご高覧いただき、ありがとうございます。
この話は、超妄想コン第102回「3時」に応募して……いたはずなのですが、何故かエントリーされていませんでした。
もう笑うしかありません。
これから参加可能な他のコンテストに応募することも考えたのですが……考えていた展開を吐き出したので、現時点では未定です。
とりあえず、あとがきめいたものを綴らせてくださいね。
この話の着想は、RCサクセションの名曲「トランジスタラジオ」が発端です。
クラスメート達が真面目に授業を受けている時、自由で開放的な屋上にいる。
勿論、閉鎖的で画一的な学校生活の中にあるからこそ、対局の主人公の存在が際立つ訳ですが。
この話の主人公・榎元は、校則違反と知りつつ、実入りのいい夜のバイトを続けています。当然、昼間は眠い。多分、登校途中に買った菓子パンか何かを頬張って、昼休みは仮眠タイムという生活です。
こんな状態なので、友達はいるのかどうか分からない。むしろ、他人と距離を取りたがる性格かもしれません。
母が見せる生き難さを身をもって味わい、将来に夢なんか少しも抱けないまま、無為な日々を過ごしています。
彼もまた、抑圧された日常の中、水面で呼吸をするかの如く、屋上に浮かび上がってくるのでしょう。
一方の優等生、櫻井は、転校を前に、思い出に浸るために、屋上に来たかのようです。
尤も、本当は別の理由ですが。
思いがけない人との出会い(接触)や出来事で、深刻な悩みが呆気なく色褪せることがあります。
ポジティブにもネガティブにも、人生は予測不可能です。
だからこそ明日は、面白く、苦しいのでしょう。
初めてちゃんと口を利き、共感に似た体験をして、互いの気持ちが少しだけ近付いた日――それは彼女の転校によって、物理的には別れになる日でした。
これもまた、一期一会のようなものかもしれません。
「いつか、世界のどこかで会おうね」
櫻井の台詞は、榎元に対する精一杯のエールでした。
飛行機雲を見上げたように、辛くても、きっと顔を上げられるように――。
あとがきまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
また、別のお話でお目にかかれましたら、幸いです。
2019.6.17.
砂たこ 拝
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