4.

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なんだかんだとへ理屈をつけたけれども、結局、鷹城がこれまでの多忙で陽太に触れられなかったストレスを発散したかっただけのような気もしたが。 朝の眩しい光に晒されながら、ソファの上でそのまま鷹城にしつこいほどの愛撫を受ける。 愛してる、可愛い、甘い、美味しい、いい匂い、エロい、最高、キモチイイ…褒め言葉と愛情表現を雨のように降らせながら、身体と心の両方を蕩かされていく。 始めは昨夜お風呂に入っていないから、と少し抵抗した陽太だったが。 すぐに身体中余すところなく舐め回されて、鷹城の唾液でベトベトになってしまえば、もう汗の臭いがどうとか身体の汚れがどうとかの問題ではなくなって。 「動物みたいに、マーキングできたらいいのに」 鷹城は、陽太の顎を甘く噛みながら、そんなことを囁く。 「こうしてどれだけ俺の匂いをつけても、人間は鈍いから君がもう全部俺だけのSweetieだってこと、ちっとも気づかない」 歯痒そうに喉仏を舐められて、陽太はひくっ、と背中を仰け反らせながら思う。 人間が動物並に鼻が利いたら、確かに、これだけ鷹城の匂いをつけられた陽太には誰も近寄らないだろうな、と。 鷹城は明らかに抜きん出て強い雄、王者として君臨するひとだ。 そのひとが陽太を自分のものだと誇示してマーキングすれば、大抵の雄は畏れて逃げていくに違いない。 だけど、もしそうならば、鷹城にも、陽太のものだという印をつけたい。 陽太のつけるマーキングなんて、鷹城のようには周りのみんなから強い雄だと認められなくて、匂いだけで追い払うことができないかもしれない。 それでも、寄ってくる相手の挑戦を片っ端から受けて、追い払ってみせる。 たとえこてんぱんにやられてしまうとしても、相手が諦めるまで食らいついて離れない、そんなしつこい戦い方で、執念だけでも、鷹城の(つがい)は自分だと証明したい。 このひとを誰にも譲りたくない、違う世界のひとだからって身を引くことなんてできない、すがりついてでも一緒にいたい、と気づいてしまったから。 そんな独占欲丸出しの重たいキモチを、少しも重くないよ?と肯定して貰えたから。 「鷹城さんにも、俺の匂い…つけていい、ですか?」 鷹城の真似をして、その喉仏をペロリと舐める。 鷹城がごくりと唾を飲んだ。 その動きが、舌に伝わってゾクゾクする。 「いっぱいつけて?ああ、もう、君はマジで一々可愛すぎて…本当にヤバい」 そうやって喋ると、更に喉が震えるから。 舌先に直接声が伝わって、陽太は、なんか堪らない気持ちになった。 可愛い可愛いと鷹城にはあしらわれているが、陽太だって雄だ。 恋人にマーキングする、という行為と、その舌先に伝わる微妙な震えに、少なからず興奮する。 陽太は、鷹城の身体の下から抜け出して、位置を反転させた。 体格差があるから、組み敷くというよりは単に乗っかってじゃれているというふうにしかならなかったけれども。 そのくっきりと浮き出た喉仏に、ちゅうっと吸い付く。 舐めて、甘噛みして、再び吸い付いて。 鷹城が、くすぐったいのか、或いは少しは気持ちよくなってくれてるのか、ため息のような大きな吐息を漏らして、少し喉を反らしてくれた。 そんなふうに、急所を晒して好きなようにさせてくれることに、更に煽られる。 「喉仏(ここ)、スキ?そんなに一生懸命舐めて、かーわいい、陽太」 喋るたびに震えて、空気を挟まずに直に伝わる声も心地いい。 「痕、ついた?喉仏(そこ)ばっかりじゃなくて、他にもつけて?君の所有印(マーキング)」 男の急所は、喉仏以外にもあるよ? 俺は君に全面降伏してるから、君のものだって印、別の急所にもつけて? どさくさに紛れて、卑猥な要求をしている鷹城だが。 いつになく興奮して昂っている陽太は、素直に身体の位置をずらし始めた。 いつも鷹城が陽太にしている行為を真似ているのか、首筋から鎖骨、鎖骨から程よく隆起した胸筋へと、やや拙くだけれども唇と舌を使って、舐めたり吸い付いたりして、薄い痕を幾つも残しながら下りていく。 時折、不快でないかが気になるのか、上目遣いに視線を投げてくるのが可愛すぎる。 「キモチイイ、陽太、もっとして?」 そう、声をかけると。 その瞳に歓びが浮かび上がって、欲情の色を隠そうともせず、より濃くするから。 どんなに可愛くても雄なんだな、と思って、そんな一面にもまた愛しさが募った。 舐めたり吸ったり、熱心に乳首にかじりついていたかと思うと、胸筋から腹筋をなぞり、臍にオズオズと舌を突っ込んでくる。 陽太の何の経験もない真っ白な身体を拓いたのは鷹城だ。 キスの仕方から、性器以外にも性感帯があること、どこをどんなふうに触れたらキモチイイのか、愛し合う行為の全てを、少しずつ少しずつ実践で教え込んだ。 だから、そうやって陽太のする愛撫が、無意識に全部鷹城(じぶん)の行為をなぞったものであることが、可愛くて愛しくてたまらない。 しかも、もちろん本人は、意図してそうしているわけじゃないから気づいていないんだろうけれど、自分がされてキモチイイことを再現しようとしてくれているのがガッツリ伝わってくるのだ。 さっきから陽太がしてくれてることは、鷹城がするとその可愛いひとがいつも一際敏感に反応することばかりなのだ。 こんな昂るシチュエーションがあるだろうか? 一頻り臍を弄り倒した陽太は、その下、というかもう、臍まで隠してしまいそうなほど屹立した鷹城のソレに、少したじろいでいた。 もちろん、初めて見たわけではない。 何度か、ねだられるまま舐めたことも、手で扱いたこともある。 というか、いつもソレを胎内に呑み込んでいるわけだし。 でも、明るい朝の光に満ちた部屋の中で改めてマジマジと見ると、その堂々たるサイズもさることながら、形も完璧なまでに格好いい。 男なら誰もが羨ましくなるようなソレが、陽太の愛撫に酷く興奮して、怒張して、血管をくっきりと浮かび上がらせ、ビクビクと震えている。 「鷹城さん…俺、ちょっとは、気持ちよくさせてあげられました…?」 上目遣いでそう訊かれ、鷹城は熱っぽい視線で応えた。 「見たとおりだよ?俺の可愛い恋人は、エッチが上手くてスッゲェ気持ちよくしてくれて、マジ、サイコー」 次はどうしてくれるの? 君のマーキング、一番つけなきゃいけないとこにつけてくれないの? 俺、もう我慢できなそうなんだけど? 鷹城の甘いねだるような囁きに、陽太は少し躊躇しつつも、唇をその屹立にそっと押し当てる。 熱い。 舌をそろそろと這わせると、先端からトロリと雫が垂れた。 鷹城の匂いが、一層強く陽太の鼻を擽る。 その雫が、決して美味しいものではないことを、陽太は知っているけれども。 匂いに誘われるように、舌で擦りあげるように先端まで舐め上げる。 その苦味すら、媚薬のように陽太を煽る要素になるから。 そのまま、何度も上から下まで舌を這わせた。 本当は、鷹城がいつもしてくれるみたいに、口の中に全部含んでみたい。 鷹城が与えてくれる快楽を、そのひとにそっくり返してあげたい。 そして、陽太の唾液でぐちゃぐちゃにして、これは俺のもの、と主張したい。 鷹城のソレが大きすぎて顎が外れてしまいそうで、やってみたことはない。 でも、今日は。 思いきって、試してみようか? 陽太は口を大きく開こうとしたが。 「陽太」 鷹城が、短く荒い息を吐いている。 「君の匂いをつける方法は、口だけじゃないんだけどな?」 そう言うや否や、腰を掴まれた。 「君があんまり気持ちよくしてくれるから、余裕がない。ゆっくりしてあげられないかも」 口でして貰うのは、また今度。 今は、君のナカに入りたい。 繋がって、一つになりたい。 さっき身体中を舐め回されたときにも、散々舌で解された場所を、再び少し性急に舌と指で掻き回される。 比較的浅い位置にあるイイトコロばかり狙って刺激を与えられて、そうでなくても主導権を握るという行為でいつもとは違う興奮状態にあった陽太は、激しく悶え狂う羽目になった。 「たかじょー、さ…も、ムリ、いっちゃ、う…今日、スゴ…い、キモチイ……っ」 でも、指でイくのは、イヤです。 鷹城さんに、マーキングしたいから。 だから、早く、挿れて? 内腿を戦慄かせながら、自分で自身の根元を押さえて堪えているそのひとに、潤みきった瞳でそんな懇願されたら。 なんなの、今日は? 神回?神回なの? いつも鬼可愛いそのひとだけれども、最早神を超越してる。 鼻血を噴き出しそうなほど可愛い。 「俺も余裕ないから、もう挿れるよ?ああ、ごめん、ゴム……」 鷹城はいつも陽太の身体を気遣って、そのあたりをちゃんとしてくれる。 今日みたいにリビングや、寝室以外の場所でそういうことになってどうしても生で挿れるときは、できるだけ中出ししないように気をつけている。 でも、今日は。 「ゴムとか、いらない、です…から、ナカまでいっぱい、匂い…つけて?」 完全にトンでる陽太に、煽るようにカプッと喉に噛みつかれて、そんな殺し文句を言われたら。 猛る自身を、そのままズプリと陽太のナカに押し込んだ。 陽太は、ナカだけでなく全身を大きく痙攣させる。 「あっ、ああ……っ」 一番キツイところを一気に押し入れて、その太い部分で陽太のナカの敏感な部分を擦るように軽く揺さぶる。 腹の上、騎乗位の状態で下からそんなふうに突き上げられた陽太が、大きく仰け反って戦慄いた。 「ダメ、だめぇ…っ」 堪えきれなかったのだろう、鷹城の腹の上に、生暖かい液体が断続的にパタ、パタタと落ちてきた。 同時に搾り取るように内側を更に激しく痙攣させるものだから、彼はグッと歯を食い縛って、放ってしまいそうな欲望に耐える。 まだ終わるわけにはいかない。 今日のこの行為は、ただ愛し合うためだけのものじゃない。 陽太の受けた恐怖を上書きするほど気持ちよく、満たされたものにしなくてはならない。 愛されてる、守られてる、たとえ傷つけられるようなことがあったとしても、どんな傷も鷹城がいれぱ癒される、そう刷り込みたい。 だから。 ガクンと力の抜ける腰を、両手で支える。 体重で、鷹城のソレを根元まで呑み込んでしまわないように。 ハアハアと肩で息をして、射精後の余韻にぼんやりしているかと思った陽太は、しかし、鷹城がまだイっていないことに気づいたようだ。 ズルい、と小さく駄々を捏ね始めた。 「一人でイくの、やだって言った、のに…」 ずっと抱えていたらしい不安が解消されたからか、今日の陽太はいつもより少しだけ自己主張が強めだ。 そんな自己主張が、ものすごく気を許して甘えてくれているようで、鷹城は鼻の下が伸びまくってしまう。 「すぐまた勃たせてあげるから、No problemだと思うけど?」 そう言って、再び腰を突き上げれば。 「あう…っ、待っ、て……あっ!」 その小さな身体が再び戦慄いて跳ね上がる。 「ほら、俺ってムダに身体が大きいから、陽太には頑張ってたくさんマーキングしてもらわないとダメだし?」 Sorry,でも、全身どこもかしこも君のものになりたいから、いっぱい射精()してくれるよね?
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