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わたしが冷蔵庫の前でうろたえていると、姉が帰宅した。
「お姉ちゃん、これ、どうしたの?」
わたしは冷蔵庫を指差す。
姉は、ああアレ? という顔を見せた。
「わたしが殺したんじゃないけどね」
姉は冷蔵庫の中に大量の頭が入っているのを知っていた。
「……コレ、どうする気?」
わたしは絶対、触りたくない。見たくもない。だけどたくさんの目が。
わたしを見詰めている。
目まいがしそうだ。
「ゲテモノだけど、美味しいって話だよ」
「食べる気なの」
「料理するのはお母さんだけどね」
さすがに頭に包丁は入れられない。
姉が苦笑した。
だが。
姉も母も食べる気だ。
わたしは怖気立つ。
そうこうしているうちに、母が帰ってきた。冷蔵庫を開けた。
「あら、たくさん買ったのね、お父さんったら」
父が自らも喰うために買ってきた。
いったい、どこで売っている?
わたしは目まいを覚える。
母が冷蔵庫から頭を取り出す。
一つひとつ、水洗いする。
包丁を頭に!
ああ。
切り取った。
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