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「ただいまぁ」
家に着くと同時に、お母さんが飛び出してきた。
バタバタバタバタ、うちのお母さんはなにをするのもうるさい。少しは茜のお母さんの、おしとやかさを見習えばいいのに。
「蝶子、おかえり。お母さん買い物行ってきたいから、おばあちゃん見てて」
「え、今日デイサービスじゃなかったの?」
靴を脱ぎながらそう言うと、お母さんがわかりやすく顔をしかめた。
「嫌なんだって。あそこに行くのが」
「えー?」
「とにかくおばあちゃん頼むね」
わたしの返事も聞かないまま、お母さんがマイバッグをぶら下げて、逃げるように外へ出て行く。
いや、もしかしたら本当に逃げ出したのかもしれない。このまま家に帰ってこないんじゃないかってほどの勢いだった。
わたしはふうっと息をはき、リュックを背負ったままおばあちゃんの部屋へ行く。
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