金曜日

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 アンタニハココロガナインダ。  我ながら、ものすごい名ゼリフ。  あのときの永遠の、口をぽかんと開けたマヌケな顔。思い出すだけで笑える。 「蝶子? 入るよ?」  お母さんが部屋に入ってきた。そして制服のままベッドの上に転がっているわたしを見て、大きなため息をつく。 「いま、先生から電話があったよ。あんた昼休みに、無断で飛び出してきちゃったんだって?」  わたしはくるんと、お母さんに背中を向けた。 「男の子ともめたって先生言ってたけど……あんた教室で喧嘩したの?」  いまはなにも言いたくない。聞きたいなら永遠に聞いてよ。  わたしが黙っていたら、お母さんはまたため息をついて、「お父さんに相談しなきゃ」なんて言いながら部屋を出て行った。  お父さんと相談って……なんの相談をするのよ。わたしがなにをしたって言うのよ。  クラスの男子の胸ぐらをつかんで、突き飛ばした問題児――認定。  あほらし。悪いのは、あいつのほうじゃん。
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