土曜日

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土曜日

 翌朝は土曜日で学校はお休みだった。 「おはよう」  わたしが台所へ行くと、お母さんが目を丸くした。 「おはよ。あんた、早いね」  昨日は夕方からふて寝してしまい、気づいたら朝だった。さすがにもう眠れない。 「目、覚めちゃったんだもん」  わたしは居間に行き、なんとなくテレビをつける。  お母さんは困っているのか、安心したのか、よくわからないため息をつく。 「ああ、そうだ。あんた昨日寝ちゃったみたいだから起こさなかったけど」  そう言って、お母さんがどこかからわたしのリュックを持ってきた。 「これ、昨日の夕方、永遠くんが届けてくれたよ」 「えっ」  驚いた。なんで永遠がわたしの荷物を? 「あんた休み時間に、なにも持たないで帰ってきちゃったでしょ? だから永遠くんがわざわざ届けてくれたんじゃない」 「と、永遠……なにか言ってた?」 「べつに。これから夏留先生が来るからって、すぐに帰ったよ」  ああ、昨日は金曜日。なっちゃんが永遠の家に来る日。  わたしはお母さんからリュックを受け取る。ずしりと重たい。中を開けるとわたしが机の上や中に置きっぱなしだった、教科書やノートや文庫本なんかが全部入っていた。  これ、永遠が入れてくれたのかな。  いや、きっと先生に頼まれて、嫌々届けに来たんだ。そうに決まってる。  あいつにやさしい心なんか、あるわけないんだから。
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