16人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
土曜日
翌朝は土曜日で学校はお休みだった。
「おはよう」
わたしが台所へ行くと、お母さんが目を丸くした。
「おはよ。あんた、早いね」
昨日は夕方からふて寝してしまい、気づいたら朝だった。さすがにもう眠れない。
「目、覚めちゃったんだもん」
わたしは居間に行き、なんとなくテレビをつける。
お母さんは困っているのか、安心したのか、よくわからないため息をつく。
「ああ、そうだ。あんた昨日寝ちゃったみたいだから起こさなかったけど」
そう言って、お母さんがどこかからわたしのリュックを持ってきた。
「これ、昨日の夕方、永遠くんが届けてくれたよ」
「えっ」
驚いた。なんで永遠がわたしの荷物を?
「あんた休み時間に、なにも持たないで帰ってきちゃったでしょ? だから永遠くんがわざわざ届けてくれたんじゃない」
「と、永遠……なにか言ってた?」
「べつに。これから夏留先生が来るからって、すぐに帰ったよ」
ああ、昨日は金曜日。なっちゃんが永遠の家に来る日。
わたしはお母さんからリュックを受け取る。ずしりと重たい。中を開けるとわたしが机の上や中に置きっぱなしだった、教科書やノートや文庫本なんかが全部入っていた。
これ、永遠が入れてくれたのかな。
いや、きっと先生に頼まれて、嫌々届けに来たんだ。そうに決まってる。
あいつにやさしい心なんか、あるわけないんだから。
最初のコメントを投稿しよう!