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1.落ちてきた神
かつてこの世には、神と人が近しく言葉を交わしていた時代があった。
人の世と深く関わることができない天上界――天原――の神々は、人の世を影で支え導くために星の精霊たちに言葉を託していた。
そして、星の精霊が指し示す意図を汲み取ることができる『星詠』と呼ばれる者たちが人の世に神の声を行き渡らせていたのだった。
星詠の力は親から子へと引き継がれ、その一族は次第に国の繁栄をも左右する権威を確立していった。
しかしながら時が経ち人々の神への信仰が薄れると共に彼らはその力を弱くしていった。
そうして彼らは国の政から自然と姿を消し、山奥のそのまた奥に人知れず集落を構えたのだった。
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