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一体の星精が暁に話を聞かせようといつものお立ち台――暁の膝――に登ってきた。それを見た暁は星精が転げ落ちないようにそっと手を添えた。
「今日もまた何か面白いことがあったのか?」
自分たちのどんな話でもちゃんと耳を傾けてくれる暁に嬉しさを表した星精だったが、その直後穏やかな空気を壊すようにして離れに唯一ある扉が大きな音を立てて開かれた。
バンッ――
驚いた星精たちは暁や物の影に素早く身を潜めた。
とは言っても彼らの体は発光しておりこの宵闇の中で隠れ切れてはいないのだが、それが特に問題ないことはすぐに明らかとなる。
対して暁はというとその音だけで誰が来たのかを察し、さっきまでの穏やかさを感じさせない嫌悪の滲む瞳を扉の方へ向けた。
「おい禍者。また屑共と話していたのか」
暁の視線の先には、同じくらいの年齢の青年が暁を見下すような視線を向けて入って来ていた。
彼は現星詠の長、名を源治と言う。
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