運命戦線

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 会場が変わると質問記者たちは締め出され、カメラと各国の通訳だけが軒を連ねた様に立っていた。 「改めまして。まず順を追って話をしたいと思います。一か月ほど前、全世界の現職リーダーと呼ぶべき総理大臣や大統領宛に電子メールが百年先から届きました」  かなり焦っているのか汗を拭いながら説明を続ける総理は、小刻みに唇が震えまるで怯えているかのように緊張が伝わって来る。 「スーパーコンピューターの保有国に送られてきました。しかし、演算能力の限界を超えた計算をした形跡があり、AIが異常を発信し続けている状態です。 現在は予備機での運用をしていますが日本もメインのスーパーコンピューターは今だ故障中です」  総理の側近らしき人物は、耳打ちをすると再び総理の顔が歪んだ。カメラマン達も音響係の人達に音を拾えないか聞き”もうやってる”という声が幾つも雑音交じりに聞こえている。 「え、あと三十分で」  音響係りの一人が驚愕の表情のまま固まり、口から零れた言葉に対ししまったと言うように手で口を押さえていた。  後、三十分で未確認飛行物体は日本にやってくると露見した瞬間、その記者は締め出され咳払いと共に総理大臣は続ける。
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