室内犬になった日

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室内犬になった日

ハナは来た時は2歳と聞いていた。 犬の2歳はもう成犬の歳で実際、2回の出産を経験したママだった。 ブリーダーさんの家で出産はしたがブリーダーから見て小さな子しか産めないこともあり手放されたようだった。 正直、私は叔母さんが今、追悼記を書いている今、大嫌いだがハナに引き合わせてくれた事だけは感謝している。 私たち家族は大事に大切に可愛がって一緒に暮らした。 ハナが家にやってきて1年がすぎた冬のある日、その日は寒い日で、父が酔っていて、なんの前触れもなく外へ出て行った。 酔うと何故か外へでるのが父の癖で、その時も、まぁ何時もの事だろうと放っておいた。 数分後にはハナを連れて一人と1匹で部屋に入っていた。その後ハナは全力で外に戻ることを拒んだのだ。 ハナは実は寒いのが大嫌いで雪が降ると足取りが重くなるような子だった。 だから暖かな部屋から出るのを全力で拒否をして私たちは少し父へ呆れたように笑いながら受け入れた。 その日からハナは室内犬となった。 でも不思議な事に散歩の時は普通に家を出るので頭いいこだなぁと思った気がする。 これを書いているのは25歳の自分で10年前の記憶を頑張って引っ張り出してることもあってあやふやになってしまった。 消えてしまう記憶があるようにハナを愛していたこともいつか消えてしまうかも知れない。でも10年ぶんの思い出を49にちまでに書き記したいと思う。
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