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好きな散歩と嫌いな散歩
ハナは散歩の種類に好き嫌いがあった。
小雨や冬の日の散歩は嫌いで自分の用事が終わると10分もしないうちに
私が行きたい方へ引っ張っても全力でストップをかけて絶対に進もうとはしない。
ストップをかけた上に首輪からスポーンと抜けるのを目論みついでに首を左右に振ってみたりする。
そして抜けたら最後、猛ダッシュが始まるのだった…。
好きな散歩はドライで遠方へ行って知らない匂いのたくさんするところで、匂いをかいだりする。
そんな時はスタスタ、サッサかと歩くのだ。
家の前の坂を下って色んなワンコが散歩コースにしている道や
家の後ろの坂を登って道路を渡った山に父と行くのも大好き。伸びやかに散歩ができた。
坂下の道へ散歩に行くと近所のおばさん達から、かわいいね、キレイだね、と声をたくさんかけてもらった。
ハナは雨や雪の日の散歩が嫌いだったが私は好きだったことがある。部屋へ入れる前に濡れたハナの身体を水玉のピンクのタオルでわしゃわしゃと拭く。
そうするとハナはバタバタと走り出して最後にはハナと家の中を追いかけっこしながらお気に入りのぬいぐるみを投げて遊びに移るのが、私が好きなハナとの雨や雪の日の散歩の理由である。
病気になってからの散歩はとても辛くて痛かったと思う。でも夜に10分休憩をしながら普通に歩いてたときの道を2時間かけてゆっくり歩いたり
歩けなくなってからは抱っこして腕にハナの出血した血が毎日ついても、同じ距離を抱っこして歩いて
10キロとちょっとあったハナを毎日抱っこしてお散歩へ連れて行った。
大変だった、でも幸せだった。ハナと走って登った家の前の坂は、ハナを抱っこして聞こえるか伝わっているか分からないけど
『はな、大好き、好きだよ。かわいいね。今日も頑張ってるね』
前足は右、後ろ足は左腕で抱っこしながら耳の間に顔を埋めながらずっと伝えながら歩いた。
出会った近所の人がハナへ労わりの言葉や応援の言葉、励ましの言葉を散歩中にかけてくれた。
そんな時は少し病気になってからのハナの足取りが軽くなっていた気がしたり
ハナへかけた言葉や思いが伝わっていてくれていたら。
ハナから教えてもらう事は出来ないけど
きっと伝わっていたと信じたい。
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