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出会い
小さな柴犬の女の子が来たのは私が中学3年の受験が始まる少し前だった。
叔母がブリーダーの元から私たち家族の元へ連れてきた。私のワンちゃんとして連れてきたのだ。
玄関先にちょこんと座りブルブル震えている小さな小さな柴犬に、少し撫でようと手を伸ばした。
小さな小さな柴犬はビクッと首をすくめて今から起こることに怯えていた。
怯えていながらも噛んだり吠えたりする事は無かった。ただ瞳を潤ませて震えていた。
なぜかわからなかった。前に飼っていた雑種犬はそんな事は無かった。
その夜かその場でかは忘れてしまったが、何故こんなに怯えているの?震えているのは何故?と聞いた。
『ウチに来る前の家で酷いしつけをうけていたようだよ』
ブリーダーさんのとこからすぐに私達へきたわけではなかった。その前に手渡した家族がいたが酷い扱いにブリーダーさんが取り返してきて私達家族の元へきたのだ。
どうしてこんなに可愛い子に怯えて震えるまで酷い扱いができるのか、聞いた時は出会ってすぐではあったが私は怒りを感じていた。
外に前の犬の家をそのまま置いていた。だから外で飼おうと話して犬の小屋に入るか様子を見た。すんなり入って寛ぎ始めたので
前のワンちゃんと少し気が合うかなと微笑んだ。それから1年は外飼いをしていた。
名前をつけなくてはと思ったが何回も名前が変わるのは可哀想だと私は思った。
だから家に来る前はちゃこと呼ばれていたことを知ってちゃこにしようとした。
祖母が
『もっと簡単な名前、はなとか』の一言ではなになった。この名前で後々ほんのすこしの小さな事件が起こることになる。
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