喜怒哀楽の脱走劇は…

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喜怒哀楽の脱走劇は…

室内犬になってから初めて脱走したのはいつだったかはもう忘れてしまった。 ハナが脱走をするキッカケを作るのは毎回、祖父だった。田舎特有の玄関を開け放しにするその祖父に私は毎回腹を立てるのだ。 しかし祖父自身は飄々としていてまた私の怒りは増す。 祖父は自身の散歩へ出るとき玄関を閉めずに出て自身は散歩しているため脱走していることを帰って来てから知るのも毎回だった。 夏は玄関に磁石で貼り付けるタイプの網戸をつけて玄関を開けていると網戸をブチ破って脱走するのも毎回でこれには少し笑った。後々、夏は脱走防止の板が出来上がった。 ハナは玄関から元気よく飛び出だしたあと捕まらない距離まであるき私たちの方を振り返る。 尻尾はフリフリして目はキラキラ。テンション高めで口は笑ったような顔で 少し近づくと楽しそうに逃げるのだった。 完全に鬼ごっこ状態を楽しんでいる。 初めて脱走したのはいつかは忘れてしまったけど、私は高校生になったのにハナに脱走されて大号泣した事を覚えている。 リードを持って姿の見えなくなったハナを大号泣しながら散歩コースを探した。 大号泣には少し訳があって、ハナの前に飼っていた犬が脱走したあとは戻って来ない。 次の日、家の裏の線路で引かれていた。 だから、私は高校生になって脱走したハナに不安をかられ大号泣したのである。 そんな事を知らずにハナは家に戻ってお気に入りの座布団の上で寝ていた。 この時、脱力したのと安心したのを覚えてる。 祖父や祖母だけの時に脱走した時は近所の人が首輪をしていないのに私たちの犬だとわかって連れてきてくれた事もあった。 追いかけたり、探したり、呼んでみたりするより、車をあけたり、逆方向へ歩いたり、家族でワイワイしているとハナは脱走をやめて良く戻ってきた。 そんなお転婆娘のハナが亡くなる数日前、日差しが強くて暑い日、足がうまく動かないのに、痛みがあるのにヨロヨロしながら脱走をしたそうだ。 私は仕事だったが父が見ていた。そしてその様子をSNSで家族のグループへ送ってくれたのだ。 昔は脱走すると泣きながら怒って最後は笑ったがその時だけは嬉しかった。 脱走する元気があったんだって! でも今となってはもしかしたら別れを見せたくなっかったのかも知れない。 今でも色んな脱走話をハナが居なくなってから話てはみんな笑う。 ハナはみんなを笑顔にするキッカケに絶対なる存在だった。
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