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夏巳は体育館横の非常階段を見上げて呟く。
「今回といい、前回といい、先生が毎度たいした怪我をしてないのが気になりますね」
「……お前、俺に大怪我しろというのか」
と言う桂に、
そうじゃないですよ、と夏巳は言う。
「先生、今、怪我したらどうします?」
「怪我の度合いによるな」
「結構、あいたたたな感じだけど、重傷でもない怪我の場合です」
そりゃ、と桂は少し考え、
「とりあえず、帰るな。
此処に居ても邪魔だろうから」
と言う。
「それですよ。
犯人は、先生に怪我をさせたいというより、此処から帰って欲しい人なのかもしれ……」
しれません、と夏巳が言い終わらないうちに、
「わかったわっ」
「私もわかったよっ」
と祥華と佐川が声を上げた。
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